<家電激戦区を歩く>宮城・仙台市(2) 駅前は大型化でシェア拡大へ 郊外は地域密着で固定客を確保

2013.5.27 10:40配信
ヨドバシカメラマルチメディア仙台のフロア構成

JR仙台駅前では、家電量販店が大型店舗を出店し、シェア拡大に力を注いでいる。売り場面積で他店を圧倒したり、ドミナント(高密度多店舗展開)で売り上げを伸ばしたりするなど、戦略はさまざまだ。一方、郊外の店舗は地域密着型で固定客の確保を進めている。体験コーナーの充実や他店との差異化につながる商品の取り扱いなど、拡販策に余念がない。(取材・文/佐相彰彦)

→宮城・仙台市(1)から読む

<店舗>

●東北最大の売り場面積を誇るヨドバシカメラ

ヤマダ電機は郊外店舗との連携で対抗

ヨドバシカメラが仙台に出店したのは1991年。すでに20年以上が経過し、その名は地域に浸透している。JR仙台駅東口に直結するヨドバシカメラマルチメディア仙台は、もともと西口で出店し、その後、東口に移転した。現在の店舗は東口再開発に伴う仮店舗として、昨年4月26日、ヨドバシ仙台第2ビルにオープン。売り場面積は約1万5000m2で、東北地方の家電量販店では最大。商品数も約80万点と東北で最大級だ。下戸正己店長は、「名実ともに東北でNo.1の店舗と自負している」という。東口にあった旧店舗は取り壊しが進んでおり、延床面積約9万m2の大型商業施設に生まれ変わる。マルチメディア仙台は、その大型商業施設に再び移転する予定だ。

マルチメディア仙台の近くには、ドスパラ仙台店とTWOTOP仙台店のパソコン専門店が店を構えている。両店舗とも、組み立てパソコンパーツを中心に家電量販店では取り扱っていない商品を揃え、差異化を図っている。

西口のヤマダ電機LABI仙台は、2007年2月オープンとヨドバシカメラと比べれば後発だが、ペデストリアンデッキ(歩行者回廊)で駅と直結している利便性で、多くのお客様を獲得している。売り場面積約8000m2、商品数約30万点と、東北地方のヤマダ電機のなかでは最大規模の店舗だ。ヤマダ電機は、駅前に進出する以前にも仙台市郊外に出店していたテックランドで一定の知名度を確保。小林義人店長は、「LABI仙台を中核に、郊外の複数のテックランドとの連携によるドミナント戦略が成功している」と自信をみせる。

仙台が本拠地のデンコードーを子会社化したケーズデンキも、郊外に5店舗を構えてドミナント戦略を進めている。その一つ、古くからの住宅街である青葉区南吉成に店を構える仙台西店の西田中耕治店長は、「65歳以上のお客様が頻繁に来店してくださる」と、住民からの絶大な信頼をアピールする。

また、郊外には、コジマが2店舗を展開。なかでもNEW泉中央店は、バスターミナルでもある地下鉄南北線泉中央駅に近く、駅を中心に半径5km前後を商圏としてお客様を獲得している。横山晃央店長は、「高級住宅地で、落ち着いた雰囲気のお客様が来店される。親切な対応で固定客になっていただいている」という。

●【売り場】

製品比較ができる売り場づくり 一般家庭と同じ環境でのデモも

仙台市の家電量販店が売り場づくりで力を注いでいるのは、実際に製品を試すことができるコーナーの設置。ちょっと引っ込み思案で、店員に話しかけることが少ない仙台市民を動かすには、実際に製品を体験してもらうことが一番だと判断しているのだ。

約80万点の商品数を誇るヨドバシカメラマルチメディア仙台では、とくに、白物家電の拡充に余念がない。「掃除機に関しては、ほぼすべての商品を試せるようにした」(下戸店長)という。

ヤマダ電機LABI仙台でも、掃除機コーナーを工夫。ジュウタンやフローリング、畳など、実物の床材で試してもらうようにしている。小林店長は、「お客様の家と同じ環境で試していただくことが重要」という。

郊外の店舗では、ロボット掃除機コーナーに工夫を凝らす店が多い。コジマNEW泉中央店では、「ロボット掃除機をご存じでないお客様がいらっしゃるので、レジの近くに特別コーナーを設けた」(横山店長)という。ケーズデンキ仙台西店では、テーブルや段差、障害物などをつくって「ロボット掃除機の性能をお客様に知っていただく」(西田中店長)と、どの店舗も売れ筋の新カテゴリを強くアピールしている。

パソコン専門店では、家電量販店との違いを明確にするために、入り口近くに自社ブランドのパソコンを展示。ユニットコムで東北地区を統括する佐藤隆志・仙台エリアマネージャーは、「駅前にあるTWO TOP仙台店は、さまざまなお客様が訪れる旗艦店。まずは、当社のパソコンがいかに高性能であるのかを理解していただける環境づくりに力を入れている」という。ドスパラ仙台店でも、「性能の割に価格が安い当社のパソコンが、家電量販店との差異化につながる」(新見克也店長)と、家電量販店との違いをアピールしている。

●【品揃え】

圧倒的な品揃えで信頼を獲得 専門店は「他店にはない」がポイント

全国どこでも同じなのだが、駅前の家電量販店は、さまざまな年齢層のお客様が来店することから、豊富な品揃えが売り上げを左右する。ヨドバシカメラマルチメディア仙台の下戸店長は、「『欲しいときに必ず手に入る』『何でも揃う』ということが、店舗のあるべき姿」と断言する。競合との差異化だけでなく、「ネットショップに対抗する手段でもある」という。マルチメディア仙台では、主要なアイテムでメーカー各社の全機種を取り扱うだけでなく、「お客様の要望に応じて品揃えを充実させている」(下戸店長)。その一つがラジカセだ。「高齢のお客様から『ほかの店に行っても最適な機種がない』という声があって、これをきっかけにさまざまなメーカーの機種を扱うようになった」という。

ヤマダ電機LABI仙台は、女性のお客様が多いことに着目して、「スマートフォンのデコレーションアクセサリを充実」(小林店長)させ、壁一面に商品を展示している。また、コンパクトデジタルカメラも、ほぼすべてのメーカー・機種を揃えている。

コジマNEW泉中央店では、地下鉄泉中央駅を利用する住民を固定客として確保するために、日用品の生活雑貨の品揃えを充実させ、大きなスペースを割いてコーナーを設置している。横山店長は、「まずは帰宅途中に気軽に来店してもらうことが重要」とする。

パソコン専門店は、「家電量販店では取扱量が少ないパーツがカギ」(ドスパラ仙台店の新見店長)になる。ドスパラ仙台店では、とくにグラフィックボードの品揃えを充実させることで、パソコン上級者を固定客として確保している。

→宮城・仙台市(3)に続く(2013年6月3日掲載)

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年5月20日付 vol.1481より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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