今までには感じたことのない興奮

――歌舞伎の舞台に立った経験を「この先の人生が変わるくらい衝撃だった」と振り返られていましたね。

僕は音楽が大好きで、ハードロックとかヘヴィメタルが好きなんですけど、エレキギターの歪めば歪むほど良いっていう音の感じと、ドラムもドコドコドコって早ければ早いほど良いっていう、その音楽が一番カッコイイって思っていたんですね。

だけど今回、歌舞伎に初めて挑戦をして、三味線、和太鼓、笛の音と、自分が舞台に踏み込んだときの板の音と、お客さんの拍手の音とが混ざり合ったときに、えも言われぬ高揚感があったんです。

自分のバックボーンとか、ルーツを感じた、というか。自分って日本人なんだな、日本の役者なんだなって。あれはどの芝居でも、どの音楽でも感じられない特別な経験でした。僕にとって人生が変わってしまうような経験でしたね。

自分に流れている血液の流れが速くなったような感覚というか。それは今までには感じたことのない興奮でした。

――歌舞伎の経験は、役者としての生田さんにどのように影響していくと思いますか。

当たり前のことではあったのですが、本当に自分が日本人であることと、日本の役者であることを強く感じたんですね。ただそれが今後どう影響するかは、後々になって判明することだと思うんです。

日々の経験が役立つことはもちろんあるんですけど、「あの経験があったから、あそこを乗り切れたんだな」とかって、後になって気づくことが多いんです。だから今回の経験もそんな風になっていくのかな、とは思います。

――松也さんとは10代の頃からの親友ということですが、今回、座長としての松也さんに触れて、改めて感じたことはありますか。

僕が今回出演させてもらった公演(『尾上松也・歌舞伎自主公演 挑む Vol.10~完~ 新作歌舞伎 赤胴鈴之助』)は、彼が20代前半から始めてきた自主公演で、10数年続けてきて、お客さんも着実に増やして、存在価値みたいなものも仲間と一緒に作り上げてきたものだと思うんですね。

だから一緒にやらせてもらって心強さもありましたし、あとはやっぱり歌舞伎界を背負う若手として本当にかっこいいなと思いました。改めて尊敬しました。

歌舞伎の場合って僕らが普段やっている演劇とは違って、基本的な決定権が座頭である主役にあるんです。もちろん演出家の方もいらっしゃるんですけれど、基本的には松也君が舞台に関するすべてのことを決定する。

小道具ひとつにしても、話の展開にしても、衣装にしても、髪型にしても、メイクにしてもすべてを彼が見ている。そもそも主役でやることも一番多くて大変な中で、すべての事に気を配って、みんなが気持ちよく素敵な作品ができるようにしている彼の姿というのは、本当にすごいなと思いました。