公的医療保険制度の対象外となるのは?

高額療養費制度の支給対象となるのは、あくまでも『保険適用される診療に対して患者が支払った自己負担額』となります。

高額療養費制度が適用されない費用にはどのようなものがあるのでしょうか。

対象外となる費用

・医療にかからない場合でも必要なる医療施設等での「食費」・「居住費」等
・患者の希望によってサービスを受ける「差額ベッド代」・「先進医療や患者申出療養にかかる技術料」等

なお、患者が69歳以下の場合、自らの自己負担額を合算するためには、レセプト※1枚あたり1か月の自己負担額が2万1千円以上であることが必要です。

※診療に要した費用を医療保険に請求するため、月の初めから終わりまでの単位で医療機関や薬局が作成する請求書

こうしてみると、高額療養費制度により窓口負担は軽減されるものの、様々な費用がかかることがわかります。

前出の40代女性の場合、食事代や差額ベッド代に加え、病室備え付けの冷蔵庫やテレビの使用料、レンタルのパジャマやタオルのクリーニング料等が別途請求されたとのことでした。

想定外の出費あれこれ

抗がん剤治療中の50代女性の方のケースでは、数か月にわたり定期的に抗がん剤の通院治療を受けていますが、毎回通院当日とその翌日はとにかく全身がだるくて何もできない状態になると言われていました。

ほぼ副作用もなく日常生活を送りながら通院治療をされている方もいますが、この方の場合はやはり治療中は気力体力が低下し、仕事や家事にも支障が出てしまうという声が聞かれました。

支度や片付けが難しい為、出前やテイクアウトの利用が増えたことで食費の負担が増えたり、通院時のタクシー利用などの交通費、毛髪が抜けた影響から医療用ウィッグの購入、副作用のむくみを防止するための特殊な医療用下着を購入するなど、治療前は想定していなかった色々な出費があったそうです。

また、場合によっては傷病手当金や公的介護保険の支給対象となるケースもあり、様々な制度を活用されている方が多くいることがわかりました。