11月1日、ソフトバンクモバイルとKDDI(au)は、アップル製タブレット端末の新製品「iPad Air Wi-Fi + Cellularモデル」を発売した。通信機能を備え、スマートフォンと同じように、単体でいつでもどこでもインターネットにつながるCellularモデルこそ、真のiPad。これまでより薄く、軽くなった「iPad Air」は、iPad本来のポテンシャルを高める正統進化といえるだろう。スマートフォンでは画面が小さいと感じる人や、今後も従来型携帯電話を使い続けたい人には、手持ちの端末とiPadとの「2台もち」をおすすめしたい。

●新iPhoneと新iPadのLTE対応周波数は同じ より速く、よりつながりやすく

9.7インチの「Retinaディスプレイ」を搭載した「iPad Air」の最大の特徴は、10インチ前後のタブレット端末としては驚異的な軽さ(Wi-Fiモデルは469g、Cellularモデルは478g)と、7.5mmという薄さだ。第4世代iPadより20%薄く、28%軽くなり、持ち運びやすくなった。

さらに、Cellularモデルは、同じiOSを搭載したアップル製スマートフォン「iPhone 5s/5c」同様、対応するLTE周波数帯が増え、「プラチナバンド」と呼ばれる周波数帯を新たにカバーした。auの場合、2.1GHz帯と800MHz帯(プラチナバンド)の二つの周波数帯に対応。ソフトバンクモバイルの場合、「ダブルLTE」と名づけた2.1GHz帯と1.7GHz帯(イー・モバイル)の二つの周波数帯に加え、2014年4月以降、900MHz帯(プラチナバンド)にも対応する予定だ。そこで今回は、9月に掲載した<新iPhoneで3キャリアのLTE通信速度を比較! 山手線10駅の実測値での勝敗は……?>と同じ条件で通信速度を計測し、キャリアによる違いがあるのか、調べた。LTEの対応周波数帯は同じなので、「iPhone 5s/5c」や「iPad mini Retinaディスプレイモデル」のWi-Fi + Cellularモデルの購入を検討中の方も参考になるだろう。

●山手線10駅の平均通信速度は20Mbps超! 安定して速いソフトバンク版

前回の「iPhone 5s」での実測結果と比較するために、iPhone向けの無料アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を利用し、JR山手線の10駅(東京・新橋・浜松町・品川・渋谷・新宿・池袋・上野・秋葉原・神田)で通信速度を計測した。

その結果、10駅のうち8駅(新橋・浜松町・品川・渋谷・新宿・池袋・秋葉原・神田)で、auより、ソフトバンクモバイルのほうが速かった。全10駅の平均通信速度も、ソフトバンクモバイルが22.18Mbps、auが16.76Mbpsと、ソフトバンクモバイルがリード。ソフトバンクモバイルは、池袋駅・東京駅以外は、すべて15Mbps以上で、安定して速かった。品川や秋葉原など、平均して30Mbpsを超えた駅もあった。対してauは、唯一、10Mbpsを下回った池袋駅が足を引っ張り、平均値が押し下げられてしまった。とはいえ、計測アプリで計測した結果、10Mbpsを超えている状態なら、実用上はほとんど支障はない。

前回は、ソフトバンクモバイル、auとも、平均通信速度は12Mbps台だった。計測したのが以前より早い時間帯だったせいか、両キャリアとも全体的に速く、大画面のiPadでもスムーズにウェブページが表示された。利用人数の多い山手線での電波状況を改善するために、この1か月の間に、さらにLTEネットワークの整備・強化を進めたのかもしれない。

LTE対応周波数帯の拡大と本体の薄型・軽量化によって、持ち運び時の負担やデータ通信時のストレスが減り、利用シーンは格段に広がった「iPad Air」。よりコンパクトで軽い「iPad mini Retinaディスプレイモデル」と比べて、どちらを手にするのか大いに迷うところだ。

通信機能を備えたCellularモデルを販売するソフトバンクモバイルとauは、「iPad Air/iPad mini Retinaディスプレイモデル」向けに、スマートフォンとのセット割引など、各種のキャンペーンを展開している。ソフトバンクモバイルは、11月1日から、iPhoneとiPad Wi-Fi + Cellularモデルをセットで利用すると、最大2年間、iPadを月額1050円で利用できる「タブレットセット割」を提供。auも、「データシェア」サービスの開始に先立ち、同様に最大2年間、iPadを月額1050円で利用できる「先取り!データシェアキャンペーン」を実施している。こうしたスマートフォンとのセット割引を利用すれば、ランニングコストを抑えながらCellularモデルを使うことができる。

iPadは自宅やオフィス内で使うもの=Wi-Fiモデルと思い込まずに、より便利なCellularモデルも検討の候補に加えてはどうだろう? その際は、自宅や自分がよく行くエリアのネットワーク状況などを確かめながら、高速・快適なLTEの恩恵を存分に受けられるキャリアを選ぼう。

※本記事で計測した結果は、2013年11月1日の実測値です。通信速度は、環境・利用人数・端末などによって変わります。同じ場所で計測しても、同様の結果になるとは限りません。