説明する道越一郎エグゼクティブアナリスト

BCNは、11月13日、記者会見を開催し、全国の家電量販店・ネット販売店の実売データを集計したBCNランキングのデータをもとに、「パソコン復活への処方箋――求められる本格的個人コンピューティング市場の開拓」と題し、PC・デジタル家電市場の最新動向と今後の展望を解説した。

薄型テレビやPC、デジタルカメラなどを含むデジタル家電市場全体の売上げのなかで、PCが占める比率は高い。2013年10月の「BCNランキング」では、薄型テレビを抑えてPCが21.9%のシェアを獲得した。しかし、販売台数でみると、PCは近年ないほど落ち込みが大きい。市場が伸び悩む理由について、道越一郎エグゼクティブアナリストは、「メールやブラウジングはスマートフォンやタブレット端末ですませる人が増え、PCの需要が減っている」と説明する。

デスクトップPC、ノートPC、タブレット端末を加えたPC市場全体の10月の実績は、販売金額こそ前年同月比104.4%と伸びたものの、販売台数ベースでは88.8%と大きく落ち込んだ。販売台数は、今年5月には104.6%をマークしたが、それ以降は前年実績を下回ったまま推移している。

販売台数のうち、約6割を占めるノートPCでは、インテルやPCメーカー各社が力を入れているウルトラブックが、思いのほか振るっていない現状が浮き彫りになった。ノートPC市場でのウルトラブックの販売台数構成比は、今年の春から夏にかけてシェア10%を超えていたが、8月に9.4%と1割を割り、その後緩やかに下降している。直近の10月には、6.9%まで落ち込んだ。森英二アナリストは「モデル数も減り、頭打ちの状態になっている。しかし、最近はこれまでのウルトラブックの定義に入らないタッチ対応モデルが増えており、需要は新たなジャンルにシフトしているのかもしれない」と分析した。

PC市場復活への処方箋について、道越アナリストは「メールやブラウジングをスマートフォンなどですませる人が増えたことでPCの販売台数が減ったということは、PCをメール、ブラウジングにしか使っていなかった人が多かったということだろう。自由にソフトをインストールして、さまざまな使い方が楽しめるというPC本来の特徴を改めて見つめる必要がある。ソフトウェアの流通経路の単純化、店頭のソフトコーナーを活性化してより入手しやすくすることが急務だ」と話した。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。なお、記事中の平均単価はすべて税抜きの金額です。

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