親へのケアについても言及していた

佐々木先生のやさしさは、子どもへのみ向けられていたわけではありません。

保育者に向けての章では、かなりのページ数を割いて、親へのケアについて触れています。

親の幸せをないがしろにして子どもの幸せは考えられないのです。

出典『子どもへのまなざし』佐々木正美著/福音館書店

子どもの望むことをすべてかなえるために、親が我慢をしすぎては、元も子もない、ということですね。

がんばり過ぎてしまうママほど、自分を責めてしまいがち、という傾向もあります。その結果、誰も助けてくれない、自分さえがんばれば、という悪循環に陥ることも。

佐々木先生はこうも言っています。

働くから育児がうまくいかないのではないのです。 育児はお母さんがすべてやるものだというふうには、私はまったく考えておりません。

出典『子どもへのまなざし』佐々木正美著/福音館書店

ここには、3歳までは母親が育てるべき、といった時代錯誤な子育て観はどこにもありません。 現代にも通じる、まっとうなことを言われていますよね。

現代はなぜこんなに子育てに悩む人が多いのか

軽いベビーカーが開発され、種類も豊富なベビーフードが手に入るようになっても、子育てに関する悩みが尽きないのは、不思議といえば不思議です。

佐々木先生は、「子育てが下手な人は人間関係が下手」という指摘をされています。1998年時点のママたちは、近くの友人や夫に子育ての悩みを相談する代わりに、育児書に答えを求めていたというくだりは、今ママたちの、なんでもスマホで検索する傾向にも通じます。

スマホが悪い、というのではなく、より生身の人間との生の人間関係を避けるようになっているからなのでしょう。

その根底には、「人に迷惑をかけてはいけない」という強力な信念が社会全体に浸透しているからかもしれません。少なくとも、「困ったときはお互い様」が主流ではない社会に生きていることは確かです。

多くのママたちは、ベビーカーで電車に乗る時には必要以上に気を使いますし、公共の場所では子どもに大きな声を出さないで、と願います。

ママが子育てに不安を持つとき

佐々木先生は、ママが子育てに不安を持つときの条件は、大きく3つあるといいます。

  1. 子どもの成長具合を他人と比較するとき
  2. 夫との関係がうまくいっていないとき
  3. 日常に大人の話し相手がいないとき

20年も前に書かれたとは思えないくらい、2018年のママたちにも当てはまる事柄ばかりですよね。

逆に言えば、子育てに不安を持たないためには、自分の子どもを他の子どもと比較することをやめ、夫との関係を見直し、近所に心を開いてつきあえる友人を作ればいい、ということになります。

すぐには難しいかもしれませんが、このことを意識するとしないとでは、ずいぶん気持ちの持ち方が違ってくるのでは、と思います。

大切なことはそれほど多くない

子育てという人生のなかで限られた時間のなか、大切なものはそれほど多くはないはず。

手始めに、「自分が幸せであること」から始めてみましょう。もし幸せと感じられないのであれば、どうしたら幸せを感じられるかを考えるきっかけになりますよね。

そしてそれは、そのまま「夫や身近な人との良好な関係」につながります。

子どもにかまけて、夫とのコミュニケーションを放棄していませんか? あとあとほころびが出る前に、一日5分でも10分でも夫婦の会話を持つ工夫はしたいところ。

また、無理して合わないママ友と一緒にいたりしていませんか? なにかしらの価値観を共有できるかどうかで、ママ友との関係はまったく変わっていきます。

その上で「ありのままの子どもの姿をみること」ができれば、ハナマルですよ。

最後に、もうひとつ、日頃忙しくしているとつい忘れそうな、でも覚えておきたい言葉を紹介します。

育児をするうえでもっともたいせつなことは、子どもに生きていくための自信をもたせてあげることです。それには子どもにとって、最大のサポーターであり理解者が親なのだということが、子どもにつうじればそれでいいのです。

出典『子どもへのまなざし』佐々木正美著/福音館書店

グローバル企業にて秘書課、広報部に在籍。社内の女性ネットワーク立ち上げにも関わる。第二子出産後、体調を壊したタイミングで退職、ライターに転向。10歳の年の差の子ども2人の子育て中。子育てはどれだけシンプルにできるかだと思っている。本と森が大好き。取材のフットワークと切れ味には自信あり!

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