ラブシーンって何度やっても難しい

撮影/小嶋文子

――大樹さんの中で、俳優活動とアーティスト活動はどのようにすみ分けているのですか。

スイッチは全然違いますね。FANTAやEXILEとして活動をしているときは、やっぱりグループとして見られることが多いので、FANTAだったらリーダーとしての発言や立ち回りをしなくちゃいけないとか、そういうことを考えています。

逆に俳優のときは、個人として、一人の人間として見られることが多くなるので、「どうせアーティストが芝居やってんだろう?」って思われないように、いち俳優としてそこに居られるようになりたいと思っています。

ただクレジットには必ず(EXILE / FANTASTICS)という名前を入れてもらえるようにお願いをしていて、そこではグループを背負っている気持ちもあります。

だからその現場で僕が何かヘマをしたら、グループの評価に直結すると思うから、そこには常に危機感と責任感を持ってやっています。それは他のメンバーも思っているとは思いますけど、僕はその想いがより強いですね。

――康祐を通して、これまで自分になかった感情を知れたとおっしゃっていましたが、それも俳優活動での魅力であったりしますか。

そうですね。やっぱり演じる役によって、終わったあとに得るものは全然違います。悩めば悩むほど得るものも大きいとも思います。今回もいい経験になったと思うことがたくさんありました。ラブシーンって何度やっても難しいなって思ったり。

撮影/小嶋文子

――ラブシーンの難しさってどんなところですか。他のシーン以上に見せ方や動きに制限がありながら、かつ感情も乗せないといけないと思うので、難しいんだろうなと想像はするのですが。

そうなんです。海外であればインティマシーコーディネーター(性的なシーンの制作において、性にまつわる専門的な知識をもとに、演技やメンタルケアに携わるスタッフ)の方がいて、監督が求める画をどのようにしたら実現できるのかを事前にディスカッションしてくれて、俳優には最低限の負担でやるというのがあるんですけど、日本ではまだその資格を持っている方自体が少数で、システム的に確立されていないんです。

だから役者頼りのところが多くて、軽い手順だけを決めて、あとは本番でお願いしますということも多いから大変ですが、そういうことをこの年齢で経験できたことは、いろいろ鍛えられたと思うし、その分、強くなれたと思います。

――日本はそういうケアの面で遅れているところも多くて、でも作品自体は増えてもいるので、なかなか簡単なことではないと聞きます。負担を感じて体調を崩す場合もあるとか。

僕もそういう話は耳にするので、それは自分自身も気を付けないといけないとは思っています。自分ができないと思うことは伝えることも大事だと。けど、それだけの覚悟を持って挑んでいる作品でもあるので、いろんな人に観ていただきたいですし、結果として何かを残したいと考えています。

――そういう責任感を持って作品に挑んでくださる方だからこそ、制作側にも大樹さんに任せたいという気持ちが生まれるのではないでしょうか。

それはうれしいとは思いますけど、自分が気づかないうちにそういうところを背負っている部分もあるなとは思います。