豊かな毎日を送るヒントは…

いろいろな話をすることが豊かな毎日につながる

篠原かをり © 文藝春秋(撮影:三宅史郎)

――生活にクイズが溶け込んでいるおふたりにとって、豊かな毎日にするために、日頃から何か心がけていることはありますか?

篠原 毎日、夫婦でとてもよく話をします。もともとそんなに共通の話題があるわけではないんですが、最近知った面白いものや数多ある知識をランダムで話す相手として、すごくいいんですよね。今は、連載開始から21周年を記念した私の大好きなアメフト漫画『アイシールド21』(集英社)の特別読切が公開されるらしいので、夫に早く読んでほしいと強く思っていて(笑)。そういったいろいろな話をすることが、豊かな毎日につながる共通のことかもしれないですね。

河村 ふたりで本当にどうでもいいことをずっとしゃべっています(笑)。それは話したい気持ちはもちろんのこと、情報は持っておいたほうが得だ、という価値観が共通しているので、おたがいに「これ教えておいてあげよう」と思って会話が増やせているのかなと。

篠原 おたがいに知りたがりだからこそ、自分に関係のないことでも、ランダムに情報が入ってくるとうれしいんです。普段、SNSを見たり、動画配信サービスを観たりということの一環に会話をするということがあって、情報源が増えて毎日うれしいよね?

河村 そうだね。気兼ねなく情報を入れてもらうことは、楽しいことです。

『雑学×雑談 勝負クイズ100』(文藝春秋)より

――今回の本は、クイズの答えを導き出すまでの雑談もたっぷり収められていて、クイズ本としても対談本としても楽しめる内容ですが、一番のおすすめポイントはどこでしょうか。

河村 一番の良さとなると、あまり似たようなクイズ本が他にないことですね。通常のクイズ本といえば、情報を覚えて自分の知識を強くするという形が多くて、ドリルという名前になっていたり、過去の問題集だったり。

今回、100問のクイズが載っている点は他と変わらないんですが、そういうクイズ本があったとしたらどういう会話が行われますか? というところまで踏み込んで、パッケージ化したのがこの本です。だから、ちゃんといいクイズを作っているんですが、クイズ目当てというよりは、「クイズを通してこういう会話ができますよ」という、ある種の実例集でもあるのがポイントですね。

篠原 クイズを作るうえでも、「こういう気持ちでクイズを作って出していいんだ」と感じましたし、みなさんにも気軽にクイズで驚いたり発見したりしたことを話してみていいよ、という実例集です。

河村 だからけっこう、気楽に読んでほしいですね。

――クイズは、コミュニケーションを深めるものなのだと感じました。

篠原 選択肢が増えるという点では、クイズはお互いを豊かにする存在です。でも、生活に必須なものではないかもしれません。

河村 そうだね。僕はクイズが身近な環境にいますが、一般的にはみなさんにとってどのくらいの頻度でクイズに触れることがあるかはわからないので……。

『雑学×雑談 勝負クイズ100』(文藝春秋)より

篠原 でも、会話のとっかかりとして、クイズはとても役に立つものでもあって。スラスラと話がうまくできる人ばかりではないと思いますし、私も話し始めることだけは苦手なので、そういう方にとってクイズは使いやすいものです。コミュニケーションのひとつとして、こういうこともできるよ、という選択肢になるかなと。

河村  「では問題です!」とクイズを出すところから会話が始まると、まったく文脈を無視した投げかけになるかもしれませんが(笑)、とにかく話し始めることができて、コミュニケーションが取れる。それは必ずしもスマートに見えないかもしれませんが、不恰好なりにコミュニケーションが取れるので、手段としてクイズを持っておいてもいいのではないかなと思います。