乙支路3街のノガリ横丁はかかつての枯れ味を失ったが、ソウルの旧市街には共通する雰囲気の大衆ビアホールが残っている。写真は仁寺洞と鍾路3街を隔てる楽園商街の北側にある「OB楽園HOF」

暑い日が続くと恋しくなるのがビール。今回もソウルでビールを美味しく楽しむ方法をお教えしよう。

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  • 乙支路3街駅11~12番出入口の南側にはかつてコルベンイ横丁があった。コルベンイとはツブ貝のことで、缶入りの身を干し鱈やネギとともに唐辛子やニンニクのソースで和えたもの。韓国ではコルベンイにはビールと相場が決まっている
  • スーパーのビール売場。クラフトビール(左手)だけでなく、海外のビール(右手)も豊富
  • コンビニの冷蔵庫には缶のデザインも洒落ているクラフトビールがいっぱい
  • 最近はソウルだけでなく、地方にもクラフトビールの専門店ができている。写真は慶州(キョンジュ)で土日だけ営業する「weekend common」でくつろぐ筆者
  • 夏になると、乙支路3街の路地裏はプラスチックのテーブルで埋め尽くされる。昨年、「OBベオ」や「ミュンヘン」が撤退し、「満船HOF」の一人勝ち状態で、店の選択肢が少ないのが惜しい。ガーリックチキンが20000ウォン、砂肝14000ウォン
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  • 乙支路4街のシュポ「トンイル食品」の昼景
  • 乙支路4街のシュポ「トンイル食品」の夜景。この店の食料雑貨店と飲み屋の比率は7対3
  • 「テボンマートゥ」の瓶ビールとSPAM焼き
  • 「テボンマートゥ」の瓶ビールと乾きもの(ピーナッツと煮干し)
  • 今や韓国でもっとも人気のあるビール、TERRA(テラ)。最近は日本のコンビニでも見かけるようになった

路地裏に突如として出現する生ビール天国

乙支路3街駅前のノガリ横丁。現在、写真右手のブロックは再開発で消滅している。この辺りでは生ビール500㏄が3500ウォンで飲める

明洞(ミョンドン)の最寄り駅、乙支路入口(ウルチロイック)から一駅東に乙支路3街(ウルチロサムガ)駅がある。3番出入口から地上に出ると、明洞の華やかさとはまったく違う下町のような風景に驚くはずだ。

週末の午後、あるいは平日の夕方、3番出入口から歩道を西方向に進み、最初の角を右に曲がってしばらく行くと、もう一度驚くことになる。

そこには大箱のビアホールが何棟も連なり、店内だけでなく路上にまで並べられた簡易テーブルに陣取った若者がジョッキ片手に歓談するビール天国、通称ノガリ横丁が広がっているからだ。

なぜ明洞ではなく、隣町の路地裏にビアホール街があるのだろうか?

乙支路3街駅の西北側のブロックには80年代からビアホールが点在していた。

周辺の商店や工場で働くおじさんたちが昼間(!)、お茶代わりに生ビールを一杯やる店があったのだ。

腰を据えて飲むわけではないので、つまみはノガリ(鱈の幼魚)の干物を炙ったものだ。

ノガリ横丁は以前は文字通りノガリ(鱈の幼魚)の干物で生を飲むのが基本だった

そんな雰囲気は2011年頃まで残っていたが、韓国に懐古趣味の空気が流れ出すと、積年を感じさせる店が多いこのエリアに、地元以外の飲兵衛や若者たちが集まるようになった。

この一帯の最古参である「OBベオ」、それに続く古株「満船HOF」「ミュンヘン」の3店を中心に賑っていたが、コロナ禍の数年前から全体的に若返りが図られ、最近は若者客を中心としたビアホール街に変貌している。

かつてのような枯れた魅力はなくなったが、路上でおしゃべりしたり、ときには隣席の女子をナンパしたりしながらジョッキをぶつけ合う元気な若者たちの姿は一見の価値がある。

つまみは以前のノガリのような軽いものだけではなく、マヌルチキン(ガーリックチキン)や砂肝フライなどが主流だ。

夏になると、乙支路3街の路地裏はプラスチックのテーブルで埋め尽くされる。昨年、「OBベオ」や「ミュンヘン」が撤退し、「満船HOF」の一人勝ち状態で、店の選択肢が少ないのが惜しい。ガーリックチキンが20000ウォン、砂肝14000ウォン

乙支路3街のビアホールが集まっているエリアは、再開発によって半分以上が工事中の状態だ。残っているエリアもいつまでも今のままいられるとは思えない。

ソウル中心部の高層ビルの影に息づく奇跡の生ビール天国を今のうちに目撃しておこう。