現場で裏方の仕事を体験「勘違いしがちだけど当たり前ではない」

撮影/稲澤朝博

――撮影中、楽しかったことは?

もう現場にいることが楽しかったです。自分の出番がないときもずっと現場にいました(笑)。自分の撮影は昼ぐらいからでも、朝一のシーンから現場に行っていることもありました。

すごくうれしかったし、ありがたかったことなのですが、自分が出ないシーンのときは現場のお仕事を体験させていただいて。カチンコを打たせてもらったり、いわゆる裏方としての、荷物を運んだり、一般の方々の誘導をしたりもさせてもらいました。

なかなかそんなことをやらせていただける現場はないので、僕にとってはとても大事な経験になりました。

普段、僕は演者として現場にいるので、お水やお弁当も出てくるし、メイクもしてもらえるし、時間になったら呼びにきてもらえて、行ったら撮影が始まる。けどこれって勘違いしがちだけど当たり前ではなくて。

その裏で地道に準備をしてくださっている方たちがいるからこそというのが、いろいろなお仕事を経験させていただくなかで知ることができました。本当の意味で“一緒に作品を作っている”ということがわかったような気がしました。

だから演者以外の人たちの気持ちも知ったうえで現場に居られるようになったのは、大きな収穫だったと感じます。皆さんにとっては本当にご迷惑だったかもしれないですけど(苦笑)、「ありがとうございます!」という感謝の気持ちです。

撮影/稲澤朝博

――もともと裏方の仕事には興味があったのですか。

ありました。でもいざやってみると本当に大変で、簡単なことではないなと。例えば、助監督にも、フォース、サード、セカンド、チーフとあって、それぞれにいろんな役割があるんですけど、それを全うするもの大変だし、それが繋がって一つの作品になるんだと感じました。

どの仕事をやらせていただいても、皆さんが同じ方向を向いてくださっていることが感じられて、だからこそすごく温かい現場で、僕は好きでした。

――この仕事をやってみたいと思うようなものはありましたか。

いろいろ体験させてもらいましたけど、さすがに監督の仕事はできなかったので、それはいつかやってみたいなと。自分で脚本も書いて、監督もできたらすごく面白いだろうなとは感じました。