監督の中にある正解を読み解こうとしていた

撮影/映美

――ほかの3つのエピソードは知らない状態で撮影に挑まれていたんですか?

台本には描かれていたので話は知っていたんですが、完成したものを見てようやく全体が把握できたように思います。当時は撮影の時期も別々だったんで、ほぼ現場で会うということもなかったので。でも永瀬さんの話で登場する人物が僕の話で出てきたり。「あ、そこが繋がっているんだ」ということも出来上がりをみてようやく気づきました。

――3つのエピソードで特に印象的だったものや、シーンがあれば教えていただきたいです。

個人的には永瀬さん演じるケンジの話は好きでした。一番人間味があるというか。ああいうダメな男だけど、寄り添うところは寄り添うんだ、と。

――確かに、意外な一面がありますよね。

人間ドラマとして一番好きだったかなという印象はあります。

――こういったまさに人間ドラマを描いた作品は、演じられる側としても、心の動きとか作り方ってとても難しいんではないかなと思うんですけど。

すごく難しかったですね。演じていて悩んでいたな、という印象があります。明確に、このシーンが一体何なのか、自分でも分からない状態でやっていたので、何が正解なのかも分からないし。正解は監督の中にしかなかったので、どうやって監督の言ってることから読み解くのか、ということを考えていました。