恋人関係であっても、お互いの事情はそれぞれが責任を持って向き合うのが自立した状態。

その考え方は間違ってはいないかもしれませんが、「自立すること」ばかり意識が向いてしまうと優しさや配慮の入らない関わり方が生まれることもあります。

「精神的に成熟した女性がいい」と口にする彼氏を信頼していたけれど、その「自立」は恋愛で大切な何かを捨ててはいないか、と気がついた女性は、最終的に別れを選びました。

彼女に何があったのか、彼氏の姿に何を見たのか、お伝えします。

「依存はふたりをダメにする」という共通の認識

楓さんは31歳、勤務するガス会社では営業として飛び回り、しっかりと売上も上げているといいます。

付き合って一年になる彼氏は、業種は違えど同じ営業職で、普段から悩みを相談したりミスの改善を提案してもらったり「頼れる人」でした。

「知り合ったのは合コンで、彼のほうから告白されてお付き合いすることになりました。

過去の恋愛の話で、自分がしっかりしているせいか依存してくる女性が多く、『心が自立していない女性は自分に責任を持たないから付き合うのが大変』と漏らしていたのは覚えています」

自分の不安をこちらに解消させようとしたり、本音を言わないのにこちらが汲まないとふてくされたり、そんな人の「扱いづらさ」は自分の恋愛でも経験したと話す楓さんは、「自分のことは自分で解決する」のが大人の自立だと思っていました。

そのうえで好きな人に何も負わせないのが当たり前と考えており、その価値観が「精神的に成熟した女性がいい」と口にする男性には「自分と相性がいい」と映り、好意が生まれたのではと想像しています。

「依存は、自分だけじゃなくて相手もダメにするよね」とふたりはよく話し、実際に交際が始まってからも、自分の問題を相手に押し付けない姿勢を大切にしていたと楓さんは思っていました。