心の距離が近づかない関係

彼氏は「本当は私に関心がないのでは」と楓さんから言われたときに

「そう受け取るのなら仕方がないよ。俺は楓がどうするかまでは責任は持てないし、じゃあ自分を犠牲にして楓の気持ちに付き合えば満足するの?」

と返したそうです。

これが「もう無理」の決定打になり、楓さんのほうから「寂しさばかり感じるから、もう別れよう」と切り出しました。

お付き合いそのものは順調だったけれど、肝心な部分でこちらの気持ちを想像しない彼氏には、「自分がこの人の状態を受け入れていくしか続く道はないのだ」という実感が強く、それは楓さんが求めている交際ではありませんでした。

「別れてから気づいたのですが、あの人には歩み寄るってことがなかったのですね。自分はこうだから、を示してくるばかりで、私の気持ちを確認しないしそれで平気で過ごせるのが、無関心の証拠だなと思いました」

自立は、それぞれの状態に自分が責任を持つ姿勢であって、その在り方は正しいといえます。

ですが、そのせいで相手が心の距離を感じ、愛情を実感できない場面が生まれるのであれば、それは「拒絶」に傾きます。

同じ「自立」でも、自分の在り方だけを見て相手の気持ちを無視することと、相手の気持ちを知ってその差を埋める努力をすることはふたりの関係に大きく影響します。

「心が成熟した人」を欲しながら、相手の状態や気持ちに実際は意識を向けず自分の在り方を受け入れることだけを求めるのは、愛情と呼べるのでしょうか。

「彼のことは信頼できるし大好きでしたが、恋愛のパートナーとしては無理だと思いました。心の距離が近づかない関係って、結局はお互いを理解できないことが増えて、好きでいるのが難しいのでは」

彼氏と別れたショックはないと話す楓さんは、「自立」の意味をもう一度考えているそうです。

心の自立は、相手の姿を正しく受け止めるためにも大切な姿勢ですが、歩み寄る意思がないと相手との違いばかりが浮き彫りになります。

違うことをそのままにして受け入れてもらう側に立つのではなく、一緒に改善していく気持ちが愛情を育てるのではないでしょうか。

自立と無関心は同じではないことを、忘れたくないですね。

プロフィール:37歳で出産、1児の母。 これまで多くの女性の悩みを聞いてきた実績を活かし、 復縁や不倫など、恋愛系コラムライターとして活躍中。「幸せは自分で決める」がモットーです。ブログ:Parallel Line