「あなごをメインビジュアルで使いたいというのが製作会社さんの希望だったんですけど、彼女は三匹の中でも内向的な子で、引っ込み思案というか、どちらかというと身を隠したいタイプなんです。

それに、もう大人なので、台本にオモチャで遊ぶシーンがあってもフン!って感じで、遊ばない、見えない、知らないという態度をとるんです。

それに対して、若いさくらは慣れてくるとくつろいだ表情を見せるので、時間が解決してくれるだろうなと思ったし、実際ちょっとノセるとオモチャで遊んだりするんです。でも、それも長くは続かないので、本能がちょっと刺激されて、ついヒュルヒュルって手が出ちゃったみたいなところで使ったりしました」

「猫は駆け引きをする動物なんですよね」と北村さんはいう。

「だから、無理にやらせようとすると失敗する。こういうふうにしたら、こう返してくるんじゃないか? という駆け引きの中で慣らしていく感じでしたけど、若いさくらにしたようなやり方ではあなごはもう引っかからないんですよ」

そしてドラマ、映画ともに最高の演技を見せているのが大人のさくらだ。

 

「のんびりしてるんですけど、思わぬ動きをするから面白いし、スタッフの間でも人気がありました。癒されキャラですね。

それこそドラマ版のときに、招き猫の横に佇んでいるだけでよかったシーンなのに、北村さんの方にそ~っと歩いていって、自分から彼の膝の中にすっぽり収まっちゃったこともありましたし(笑)。

同じように、ドラマ版でご飯を上げても食べないというシーンを撮ったときも、大人のさくらが器に顔をすりっと寄せる芝居をしてくれました」

というわけで、顔のアップはあなごが、ちょっとした芝居があるシーンは大人さくらが主に担当。自然に動いているところが若いさくらという割り振りに。

ところで、猫はそもそも調教できるのだろうか?