基本的にやりたくないことは、やらなくていい!?

郭「最近思うんですけど、明確な目標や夢を持つことか大事だと思いますね。それを見つけることすら面倒だったり、見つけられない人もいっぱいいると思うけど、それを持つだけで随分変わると思います。家にいるだけじゃ、何も見つからないですからね」

廣原「僕は基本的にやりたくたないことはやらなくていいと思っていて(笑)。それこそ“やりたいことをやれ!”と言われても、それすら分からない時期って誰にでもありますよね。でも、やりたくないことだったらいっぱいある。そうやって、僕の場合はやりたくないことを徹底してやらなかったら、これしかできることはないんだっていうのが逆に見えてきて。それでいま、ここにいるという感じなんですよね」

とはいえ、彼らもまだ夢の途中。「持つだけで随分変わる」と郭は言ったが、ふたりにとっての当面の夢は何なのだろう?

郭「世界三大映画祭に参加したいですね。もちろん、それが叶ったとしても、それで終りじゃないんですけど。それと、どうも繊細だったり、アンニュイなイメージがあるみたいなので、その固まったイメージをなんとかしないとと思っていて。役者の仕事って、いつどんな役がきてもやれるように準備をしておくことが必要なんです。なかなか難しいことですけど、普段からいろんなところに行ったり、いろんな経験をして、自分を整えるようにしていますね」
 

廣原「僕は映画化したいものが2本あって。1本はいま脚本を書いているんですけど、毎日バカなことをやっている高校三年生たちの青春映画。これまでの作品でこういう映画を撮る奴か? というイメージが形作られてしまったところがあるので、それをぶち壊してやりたいと思っているんです(笑)。それと、いつか『十五少年漂流記』を映画にしたくて。僕、“大人”という響きにあまりいい印象を持っていなくて。なんか、物事に折り合いをつけていくのが僕の“大人”のイメージなんです。だから映画の中で、大人がまったくいない、子供たちだけの世界を作ることはできるのか? ということを描いてみたいなって考えているんですよ」

迷いながらも自分の進むべき方向を見つけ出し、前をしっかり見つめているふたり。何をしたらいいのかまだ分からない人は、彼らの想いが詰まった『HOMESICK』を観て、自分とじっくり向き合ってみるのもいいかもしれない。
 

映画ライター。独自の輝きを放つ新進の女優と新しい才能を発見することに至福の喜びを感じている。キネマ旬報、日本映画magazine、T.東京ウォーカーなどで執筆。休みの日は温泉(特に秘湯)や銭湯、安くて美味しいレストラン、酒場を求めて旅に出ることが多い。店主やシェフと話すのも最近は楽しみ。