ノートPCやタブレット端末などを持ち歩き、外出先でもインターネットやメールを利用したい人に、日本全国のさまざまな場所で使える有料の公衆無線LAN(Wi-Fi)サービスをおすすめしたい。特に、コンビニなどの無料の公衆無線LANサービスを常に探し回っている人、スマートフォンのテザリング機能の使い勝手の悪さや上限を超えた際の速度制限に不満のある人、会社から支給されているモバイルWi-Fiルータのバッテリの持ちの悪さに苦労しているビジネスマンは要注目だ。月額料金は300~500円程度。アクセススポット数も意外に多く、わずかな出費で、ビジネスからプライベートまで、幅広く活用できるだろう。今回は、外出先でのインターネット接続の手段として、便利・手軽・低コストの公衆無線Wi-Fiの魅力とともに、新サービス「docomo Wi-Fi 月額300円プラン」を含む、主要サービスについて比較してみた。

※本記事の価格表記はすべて税別です。

●駅やお店で使える公衆無線LANサービス 違いはサービスエリアと月額料金

全国エリアで展開している有料の公衆無線LANサービスを契約すると、駅、空港、カフェ、ファーストフード店、コンビニエンスストア、ホテルなど、「アクセスポイント(AP)」と呼ばれるさまざまなスポットで、無線LAN(Wi-Fi)を経由してインターネットに接続できる。サービスエリア情報は、各サービスのウェブサイトで確認できる。申し込む前に、必ずサービスエリア情報を確認して、実際にどれくらい使えそうかを判断しよう。

他の手段と比べた場合のメリットは、安さと手軽さ。無料の公衆無線LANサービスなら、費用はかからないが、面倒なユーザー登録が必要だったり、時間制限があったりするため、使い勝手はあまりよくない。以前より増えたとはいえ、利用できる施設・エリアも限定される。スマートフォンのテザリング機能を使う手もあるが、接続に意外に時間がかかり、スマートフォン側のバッテリ切れやデータ使用量の上限超えが気になってしまう。テザリングに特化したモバイルWi-Fiルータは、操作性は悪くないが、やはりバッテリ切れの心配がある。また、通信料金だけで月額4000円近くかかってしまうため、経済的な負担は大きい。対して、有料の公衆無線LANサービスは、モバイルWi-Fiルータより安く、スマートフォンのテザリング機能を利用するよりスムーズに接続できる。例えば、カフェでの休憩中に、クライアントからのメールをチェックしたい場合、事前に登録しておけば、Wi-Fiの設定をオンにするだけで自動的に接続するので、スピーディ&スマートだ。

主な公衆無線LANサービスとして、KDDI子会社のワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)の「Wi2 300月額定額プラン(Wi2 300)」、ワイヤレスゲートの「ワイヤレスゲートWi-Fi」、ソフトバンクテレコムの公衆無線LANサービス「BBモバイルポイント」のアクセスポイントを利用できるヤフーの「Yahoo!無線LANスポット」、そして、今年6月1日に始まったばかりの注目の新サービス、NTTドコモの「docomo Wi-Fi 月額300円プラン」の四つのサービスをピックアップして、アクセススポット数や料金、支払い方法などを比較した。

各社が発表している現時点のAP数は、「国内最大級のスポット数」とアピールする「Wi2 300」が最も多い。ただし、10月以降はサービス内容が変わり、AP数は現状より減るため、「docomo Wi-Fi 月額300円プラン」に逆転される可能性が高い。「プレミアムエリアお試しキャンペーン」として、無料で利用できた「Wi2プレミアムエリア」が適用外になるからだ(4月以降に申し込んだ新規ユーザーは、すでに「ベーシックエリア」のみ)。10月以降は、既存ユーザーも「Wi2プレミアムエリア」は有料となり、月額課金ではなく、利用する際にそのつど申し込む方式になるという。

もう一つの気になるポイント、料金は、「Yahoo!無線LANスポット」のYahoo!プレミアム会員(月額200円)が最も安く、次に「docomo Wi-Fi 月額300円プラン」のドコモユーザー(月額300円)が安い。「Wi2 300」と「ワイヤレスゲートWi-Fi」は月額362円で、「Wi2 300」と「docomo Wi-Fi」は初月無料。支払い方法は、「Wi2 300」と「ワイヤレスゲートWi-Fi」はクレジットカード決済のみで、「docomo Wi-Fi 月額300円プラン」は、通常の携帯電話料金と同様、クレジットカード、銀行口座自動振替、請求書払いに対応する。「Yahoo!無線LANスポット」は、Yahoo!ウォレット(クレジットカードまたは銀行口座自動振替)での支払いになる。

●サービスエリアの広さは他を圧倒 ドコモユーザーなら月額300円の「docomo Wi-Fi」に注目!

今回、ピックアップした中で、ドコモユーザー限定という条件付きながら、最もコストパフォーマンスが優れているのは、ドコモの「docomo Wi-Fi 月額300円プラン」だろう。AP数が約15万と圧倒的に多いことから、他の公衆無線LANサービスからの乗り換え先として、にわかに注目を集めている。

「docomo Wi-Fi 月額300円プラン」は、送受信時最大72.2Mbpsのドコモの公衆無線LANサービス「docomo Wi-Fi」を単独で利用できるプラン。現在ドコモのスマートフォン・タブレットでは、指定の条件を満たす場合、「docomo Wi-Fi永年無料キャンペーン」が自動的に適用され、無料で「docomo Wi-Fi」を利用できる。しかし、ドコモによると、回線を契約していないWi-Fiのみのタブレットやパソコンでも、「docomo Wi-Fi」を使いたいというニーズがあったため、オプションとして、月額300円プランの提供を開始したそうだ。

強みは、高速なバックホール回線による安定した高速通信とスポットの多さ。月額300円プランを紹介する特設サイトも開設し、これまでスマートフォンのテザリング機能を使っていた人や、他社の公衆無線LANサービスを契約している人に対してメリットをアピールしていくという。

ここで紹介した公衆無線LANサービスは、いずれも月額300~500円と安く、試しやすい料金設定のものばかり。なかでも、「Wi2」と新たに始まった「docomo Wi-Fi 月額300円プラン」は、AP数が多く、昼食や休憩のため、カフェやファーストフード店などを頻繁に利用するビジネスマンなら、十分に元が取れると思われる。ビジネスマンに限らず、すでにタブレットを持っているが、自宅やオフィスの中だけで使っている人は、公衆無線LANサービスの利用を前提に、外に持ち出して使ってみてはいかがだろうか?