子どもが電車やバスの中で騒いだとき、つい口から出てしまうフレーズ「ほら、怒られちゃうよ」。

でも、「誰かが怒るから静かにする」のではありませんよね。こんな時、どうやって子どもに伝えたらよいでしょう。

子どもにしつけをするとき、親の口から無意識に出てくる言葉があります。その中にある代表的なフレーズ。「そんなことしていると怒られちゃうよ」とか「ママ怒るよ」とか…。

「テキトー母さん」流子育てのコツ』の著者の立石美津子が、子どもへの賢い伝え方についてお話しします。

「ほら、怒られちゃうよ」

©あべゆみこ

筆者がバスに乗っていると、2歳くらいの子どもが騒いでいました。静かにさせようとしてママは大変な様子でした。最初のうちは「シー、シー」と注意していたのですが、一向に収まらないので、「ほら、怒られちゃうよ!」と叱りました。

その言葉を聞いて、一瞬「そのフレーズの主語は私のこと?」と思いました。筆者はジーッとその様子を観察していたので、私のことを指して「あのおばさんに怒られちゃうよ」と母親が言ったと思ったのです。でも、親がいるのに見知らぬ子どもを叱ったりはしません。

「それとも私じゃあなくってバスの運転手さんのこと?でも強面の人ではないし…」色々とぐるぐる頭の中で考えました。でも、誰かを特定しているのではないのですね。

さて、子どもの立場に立ってみると、親の言葉をどう受け止めているでしょう。間違いなくその車内にいる誰かを指しているのです。ママ自身を除いては…。

「親である自分が悪役になりたくない」とまでは意識していないかもしれません。

けれども、この言葉は子どもにとっては、「ママはあなたの味方よ、でもバスの中は怖い人がたくさん乗っているわ。今に怒られちゃうから静かにしなさい、ママ以外の誰かから怒られちゃうから騒ぐのは止めときなさい」と言われているのと変わりがないのです。

しっかりと親の言葉で「静かにしなさい」と言ってほしいと思った光景でした。

ついやってしまう“責任転嫁する叱り方”あるある

電車の中

電車の中で子どもが大騒ぎ。向かいに座っている強面のおじさんがジーッと睨んでいます。「ほら、おじさんに怒られちゃうから静かにしなさい!」と叱ってしまうママでした。

その場に居ないパパの力を借りる

子どもが好き嫌いをしてせっかく作った夕飯を残しました。「なんで食べないの!パパが帰ってきたら叱ってもらうからね!」とパパの力を借りてしまうママでした。

先生の力を借りる

子どもがおもちゃを散らかしたまま、グズグズして片付けません。「保育園ではお片付けしているんでしょ!連絡ノートに書いておくからね。先生からも叱ってもらうからね!」と偉大な先生に助けを求めてしまうママでした。

これらは全部、誰かに責任転する叱り方ですね。親自身の言葉には残念ながらなっていません。やがて、子どもからは甘く見られてしまい、親の権威が失墜してしまいます。