富士通の「ARROWS Tab F-03G」

NTTドコモの冬春モデルとして、富士通のタブレット端末「ARROWS Tab F-03G」が11月8日に発売された。「ARROWS」シリーズといえば、この夏発売されたハイスペック・スマートフォン「ARROWS NX F-05F」が搭載する日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS(スーパー エイトック ウルティアス)」の高い性能が注目を集めた。では、最新モデルはどうなのか。「ARROWS Tab F-03G」をいち早く試した。

Android 4.4.4を搭載するタブレット端末「ARROWS Tab F-03G」は、2560×1600ピクセル(WQXGA)の10.5インチ有機ELディスプレイを搭載し、写真や動画を色鮮やかに映し出す。動画応答速度もよく、スポーツなどの動きの速い映像もクリアに映し出す。ワンセグ/フルセグチューナーを搭載し、場所を選ばずテレビ番組を視聴できるのも魅力だ。

本体の軽さにも注目したい。約433gで、10インチ以上のディスプレイを搭載する3G/LTE対応タブレット端末としては、世界最軽量(2014年9月30日現在)を実現した。厚さが8.5mmと薄いのもいい。さらに、風呂場でも使用できるIPX5/8の防水性と、IP5Xの防じん性能を備えているので、室内から外に持ち出しても安心して利用できるのがうれしい。

●軽量だから電車でも立ったままらくらく

あらゆるシーンでの活躍を期待できる「ARROWS Tab F-03G」。どんなシーンで活用できるのか、ビジネスパーソンの一日の流れに沿って追った。10インチクラスのタブレット端末というと、持ち歩くにはちょっと大きいと思うかもしれないが、「ARROWS Tab F-03G」は薄く、軽いので、カバンにサッと入れることができ、持ち歩きが負担にならない。

朝は何かと忙しく、時間がなくてテレビのニュースや新聞をチェックできずに家を飛び出してしまうことがある。それでも仕事のために最新のニュースはチェックしておきたい。そんなとき、「ARROWS Tab F-03G」が活躍する。

ワンセグ/フルセグチューナーを搭載し、電車のなかでニュース番組を視聴できる。薄く、軽いので片手で持っていても苦にならない。また録画機能を備え、あらかじめ録っておいたニュース番組や特別番組を電車内でチェックすることで、貴重な朝の時間を効率よく活用できる。ウェブサイトを巡回して、ニュースをチェックしてもいい。

通勤時間の有効活用法としては、読書もいい。有機ELディスプレイは画面が明るく、小さな文字をクリアに表示するので、読書に集中しやすい。

●屋外でもくっきり見える「Super Clear Panel」を搭載

スマートフォンやタブレット端末の地図アプリを利用して取引先回りをする人は多いだろう。だが、明るい屋外では周囲の明るさに負けて画面がよく見えないことがある。「ARROWS Tab F-03G」は、日光下での視認性が高い「Super Clear Panel」を採用。液晶ディスプレイとパネルの間の空気層をなくすことで光の乱反射と拡散を低減し、日中の屋外でも問題なく利用できる。また、独自の「ヒューマンセントリックエンジン」がセンサで周囲の明るさを検知し、環境に合わせて輝度を調整してくれる。

実際に屋外で使用したところ、直射日光の下でも鮮やかな映像を確認できた。WQXGAの高精細なディスプレイは文字をくっきりと描き出すので、地図上の番地表示や建物名などの細かい表記をしっかりと確認できる。また、文字が小さくて読みにくいときは「いつでもズーム」が活躍する。通常は2本の指でピンチアウト/インをして拡大/縮小表示をするが、「いつでもズーム」なら虫メガネアイコンをタップすることでさらに拡大ができる。指一本で拡大/縮小ができるので便利だ。

また、手袋をしたままでも操作できる「手袋タッチ」を搭載。タッチパネルの感度が上がり、タッチ操作に対応する手袋でなくても装着したまま操作ができた。これからの季節にはありがたい機能だ。

●高速通信と優秀な文字入力で仕事効率がアップ

外出先でタブレット端末を使う場合、一番気になるのがネットワークだ。「ARROWS Tab F-03G」はネットワーク機能も充実している。通信を安定化する技術「マルチコネクション」を搭載し、Wi-Fi接続を維持したまま、3G/LTEのモバイルネットワークでも通信できる。カフェなどで公衆無線LANを使用中に電波状態が悪くなった場合、自動で3G/LTE回線を併用して通信を継続するので、途切れることなく安定した通信環境を提供してくれる。

さらに、サーバーにリクエストを複数同時送信する「高速ダウンロード」機能を搭載。動画やアプリのダウンロードは一度にサーバーへ通信できる容量に上限があって時間がかかってしまうが、「高速ダウンロード」では、サーバーへ通信するリクエストを増やして一気に超高速でダウンロードする。

「マルチコネクション」と「高速ダウンロード」で、次の打ち合わせに必要な資料を探してダウンロードしたり、メールに添付されたファイルをチェックしたりなどの作業を短い時間で効率よく進めることができた。これなら、わずかな休憩時間も有効に活用できそうだ。もちろん、活躍するのはビジネスシーンだけではない。

「ARROWS」シリーズならではの機能が、富士通とジャストシステムが共同開発した日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS」だ。予測変換精度が高く、日本語を理解して、前の文章に合う言葉を先回りして候補として表示する。例えば「友だちが」と入力すると「多い」などを、「友だちを」と入力すると「つくる」など、助詞に合わせて言葉を予測してくれるので、文字をスムーズに入力することができる。また、旬のワードを自動で辞書に追加できる「キーワードExpress」で、ストレスなく文章の入力ができ、資料づくりの効率がアップする。

資料づくりには「なぞってコピー」も便利だ。カメラで撮影した文章の一部をなぞるとOCR(光学式文字認識)でテキスト化し、コピーする機能で、先方からもらった紙の資料を「ARROWS Tab F-03G」で撮影し、それを取り込んで提案資料をその場でつくるなどという離れわざにも使うことができる。

●頼りになる大容量バッテリ 自宅でもフル活用しよう

「ARROWS Tab F-03G」は、自宅でもフルで活用できる。付属の卓上ホルダに「ARROWS Tab F-03G」を立てかけて、別売のテレビアンテナケーブルを接続すると、フルセグのハイビジョン放送を安定した電波環境で視聴できる。つまり、タブレット端末が小型のテレビに早変わりするのだ。

有機ELディスプレイを搭載した「ARROWS Tab F-03G」でハイビジョン映像を視聴すると、色の美しさが特に際立つ。他社のタブレット端末と比較したところ、「ARROWS Tab F-03G」は人肌を血色よく映し出すことができた。また、明暗の差が大きいシーンでも、ハイライトは飛びすぎず、暗い部分でもしっかりと描き出していた。

フロントにステレオスピーカーを搭載し、迫力ある音声で動画を堪能できるのもうれしい。CDの約6.5倍の情報量をもつハイレゾ音源に対応しているので、臨場感のある音楽を楽しむこともできる。

これだけフル活用すると、心配になるのがバッテリの残量だ。「ARROWS Tab F-03G」は約7840mAhの大容量バッテリを搭載。さらに独自の省エネ技術で、110時間以上使用できる。2泊3日程度の出張なら、充電アダプタを持っていく必要はないだろう。

美しい画面にすぐれたネットワーク機能を搭載し、「Super ATOK ULTIAS」などによるスムーズな文章作成ができる「ARROWS Tab F-03G」。ビジネスからプライベートまで、あらゆるシーンで活躍する一台だ。(フリーライター・星政明)