全世界でヒットした「ハリーポッター」で、知的な女性ハーマイオニー役を演じたエマ・ワトソンは、幼いその頃から今まで、何かと注目される存在です。
最近は、イギリスのヘンリー王子との熱愛が噂され、王室入りまでささやかれたりしておりました。
そんな彼女が、去年「He for she」という国連の新しいキャンペーンを発足しました。そのスピーチの内容がすごい、といまも全世界で話題です。

今回は“知的な優等生の少女ハーマイオニー”のイメージから、世界を動かす女性に成長したエマ・ワトソンのスピーチのすごさを伝えたいと思います。
 

エマ・ワトソンが訴えた「He for she」とはなにか

国連の新しいプログラム「He For She」は、女性の地位向上を目指す運動です。
ただ、女性問題の運動によくあるような、女性たちだけで話し合い賛同する形ではなく、男性とも歩調を合わせて行ってゆくことを目指した国連のキャンペーンなのです。

フェミニズムという言葉は、“男女平等”を表すことであると明言
“フェミニズム”は、女性の地位の向上を掲げるのが目的とされ、男性からは敬遠されがちです。
なぜ敬遠されているかというと、フェミニズムを押し進める女性たち(フェミニスト)は“非常に強烈で強引で、孤軍奮闘して男性に反旗を翻しているけれど、全然魅力的ではない”と、そんな風に見られてしまっているからです。

このように、まずフェミニストという言葉が嫌われているということをしっかり肯定し、それは女性の権利を求めて世間を攻撃する男嫌いのことではなく、男女平等の提唱であるということを、具体的な内容を交えて発信します。

日本でも、例外なく性差別の撤廃運動を指す「フェミニズム」という言葉の固定的なイメージはよくないです。これを脱したいという方向性は、まず克服したい課題のひとつです。
 

このスピーチが世界中の人々を魅了した理由

一般的にこのような場でのスピーチを聞く相手は、性別も国籍も地位も様々な全世界の人々です。そのため全てのひとに理解してもらおうと、普遍的な言葉を多用するスピーチがよく聞かれます。

ただそうすると、キラキラした現実味のないことばでスピーチは埋め尽くされ、机上の空論を並べ立てているように感じて、スピーチが魅力的なものではなくなってしまいます。
今回のエマ・ワトソンのスピーチは違いました。

エマ・ワトソン本人の経験や感じたことを盛り込み、聞くひとの興味を引き出しました。
彼女が、性別をもとにして決めてかかるような考え方に疑問を持ち始めたのは、8歳の時だそうです。自分がリーダーシップを取ると生意気だと言われ、男の子は言われないのにどうして、と彼女は思いました。

15歳の時、女の子の友達が、筋肉質に見られたら嫌だからと、部活を次々に辞めていったことや、18歳の時、男の子の友人が素直に向き合ってくれなくなったことも、スピーチを聞く全てのひとに伝えました。

このように自身の具体的な経験を交えることで、“遠いところの話ではなく、誰にでも起こっていた身近な違和感が男女差別の正体である”ことを伝えます。