これがPC? 画面が無線接続のパワフルマシン、富士通「LIFEBOOK GH77/T」

2015.4.9 20:33配信
「LIFEBOOK GH77/T」を囲む、商品企画を担当した細川佳宏マネージャーと開発を担当した河野晃伸マネージャー

手軽に使えるスマートフォンやタブレット端末が登場し、PCの出番は確かに減ってきた。しかし、PCならではのハイパフォーマンスや大画面は、やはり必要。例えば、写真や動画をきちんと編集するならPCが必須だし、動画を楽しむなら大画面で楽しみたい。そんな背景から、PCの新しいスタイルを提案したのが、富士通が2015年初頭に発売した「LIFEBOOK GH77/T」。相反する要素として考えていた“手軽さ”と“ハイパフォーマンス”をうまく両立させた。

「LIFEBOOK GH77/T」最大の特徴は、15.6型で980gの「画面」を取り外したり、縦横自在に置いたりできるところだ。本体はクレードルと呼ばれる画面スタンド型の部分で、ここにCPUやストレージなどを集約している。そのため「画面」部を持ってみると、大きさの割にビックリするほど軽い。しかしスピードやパワーはデスクトップPCさながら。

クレードルに「画面」を置いている状態でも、本体とは常に無線でつながっているため、縦横と置き方を変えたり、取り上げたりしても、作業が途切れることはない。さらにこの無線「画面」、遅延はほとんどなく、最大約30m離れた場所でも使うことができる。そのため、動画編集やゲームなど、とても負荷が大きい作業でも家中の好きな場所で軽快に作業することができる。イメージとしては、現在は存在しない、とてもパワフルな軽量大型タブレットが家中で使える、という感じだ。

なぜこんな製品をつくることになったのか? 「LIFEBOOK GH77/T」の商品企画を担当したユビキタスビジネス戦略本部・パーソナルプロダクト統括部・第三プロダクト部の細川佳宏マネージャーと、開発を担当したパーソナルビジネス本部・クライアントプロダクト事業部の河野晃伸マネージャーに話を聞いた。

●デスクトップ? ノート? 「LIFEBOOK GH77/T」が目指したPCの新しい形

一見、デスクトップPCに見える「LIFEBOOK GH77/T」だが、意外にも「ノートPCの進化形を考える」ところから開発はスタートしたという。「『LIFEBOOK』ブランドを冠することからも分かるように、私たちとしてはこの製品をノートPCのひとつと考えています。議論を重ね、画面を外してもPCならではのハイパフォーマンスを発揮することが、ノートPCの新しい形だという結論にたどり着きました」と河野マネージャーは振り返る。

ターゲットとして設定したのは、今のPCの使い方に満足していない30~40代の男性。「例えば、お父さん世代は、家族の写真管理をまかされることが多い。写真管理には、思い立ったときにすぐ作業ができる手軽さと閲覧や編集をすばやくこなす処理能力が求められますよね。そんなニーズに応えることができる製品を目指しました」。

15.6型というディスプレイサイズ、一見、家の中に設置するには小さく、取り外して利用するには大きいのではと思える。だが、この選択はユーザーの使いやすさを十分に考慮しての決断だ。細川マネージャーは「A4ノートと遜色なく使えるということを重視し、このサイズに落ち着きました。取り外して利用するには大きいという声もありましたが、その点はディスプレイの薄さ・軽さでカバーしています。一度、画面を持ち上げてみれば、予想以上に使い心地が良いことが分かると思いますよ」と理由を語った。家の中で持ち歩くのなら、まったく問題にならないし、スタンドに立てかけたり、膝の上に置いたりして動画や写真をじっくりと楽しむのなら、申し分ないサイズだ。

●最大の難所は、高速レスポンスを実現した独自の無線技術開発

「LIFEBOOK GH77/T」を、異色のPCとして際立たせているのが、最大約30mの距離で約0.07秒の高速レスポンスを実現する無線技術。この製品のために新たに開発したものだ。

「PCが出力するデータをリアルタイムで変換し、遅延なく受信できるようにすることは大変困難でした。今でもよく形になったなと思います」と、両マネージャーは無線接続技術を開発の最大のポイントと話す。「ほかの家電と干渉を少なくするため、検証を重ねたうえで、無線LAN以外であまり使用しない5GHz帯を採用しました。また、いつでもスムーズに機器にアクセスができるように、送信側/受信側それぞれに専用のLSIを設け、問題を解決しました」と、河野マネージャーは独自技術の要点を説明した。試行錯誤の連続だったというこの無線技術の開発だが、「苦労の甲斐あって満足いく出来に仕上がりました」と、その成果に胸を張る。

そのほか、クレードルの前面部の設計には苦労したという。狭いスペースに、Webカメラ、NFC、キーボードとマウスのレシーバー、人感センサを搭載し、かなり高密度にせざるを得ないからだ。

高速レスポンスの画期的な無線技術ばかりに目がいきがちだが、利用シーンを広げるクレードルのインターフェースも「LIFEBOOK GH77/T」の特徴のひとつだ。例えば、人感センサを利用すれば、人が近づいたときだけ写真を表示する省電力なフォトフレームとして活用することができるし、Blu-rayドライブがあるからこそ、映像コンテンツを家のどこからでも手軽に楽しむことができるのだ。

●「LIFEBOOK GH77/T」が描く“未来のPCのあり方”

モバイル端末が普及した一方、新しいPCのあり方が求められるようになってきたが、富士通は「未来のPCのスタンス」についてどう考えているのだろうか。新時代のPCであることを強く意識したという「LIFEBOOK GH77/T」から広がる将来のビジョンを聞いてみた。

細川マネージャーは「PCの要はパフォーマンス」との前提に立ち、「家の中にある家電で、最もパフォーマンスにすぐれたPCを、今の形だとうまく使いこなせていないし、使いづらい」と問題点を指摘。「『PC=年賀状作成専用機』と認識している人もいる。エアコンや照明を声でコントロールできたり写真や動画の編集も指示を出せばやってくれたり、といった新しい提案が必要です」と語った。

他の家電をコントロールするという点に、河野マネージャーも深くうなずく。「白物を含めて、これからの家電はネットワークにつながっていくはず。収集したビックデータをPCで処理することで、何ができるのか検討することは、PCメーカーの課題だ」と、進化の方向性を示した。

また、『LIFEBOOK GH77/T』は、現時点では尖ったPCだが、将来的には当たり前のスタイルとして浸透させたいという。細川マネージャーは「コンピューティング自体は家の見えないところに設置し、制御には別のインターフェースや音声を利用する。極端にいえば、PC本体は購入から買い替えまで触れることはなくてもいい。家の中の電子機器を束ねる頼れる存在を目指したい」と、未来のPCのあり方を語った。最終的には生活の中に“溶け込ませたい”というPCの将来像を示した初号機である「LIFEBOOK GH77/T」は、その第一歩として新しい可能性を十分に提示している。(BCNランキング・大蔵大輔)

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