続いて今回のメインディッシュ、餃子の登場である。『むかしの味』で紹介されているのは蒸し餃子と水餃子のみだが、餃子コースではこれに加えて焼き餃子も味わうことができる。

水餃子
蒸し餃子
焼き餃子

まず驚いたのはその大きさだ。水餃子は一口大だったが、蒸し餃子と焼き餃子は普段食べ慣れた餃子の優に倍以上はあった。

とても一口では食べきれない大きさ

驚いている私たちに王さんが「山東省の方では餃子のような小麦を使った料理が主食、日本でいうご飯のようなものなんです。だからお腹いっぱい食べられるように大きくなっているんですよ」と説明してくれた。小さい水餃子も、普段の食卓には山盛りで出てくるとのことであった。

そして蓬莱閣の店内には、このような案内が掲げられていた。

「不要醤油」?

王さんに伺ったところ「うちの餃子は何もつけないで、そのまま食べてください。味に変化がほしいときは、酢とラー油だけをつけてください」とのことであったので、言われた通りに何もつけずに水餃子を食べてみた。

食べる前はちょっと不安だったが、ところがこれがものすごく美味しい。

蒸し餃子を食べた山岸も、そのおいしさに驚きを隠せない。

言われた通りに何もつけずに食べてみると、これがものすごく美味しい。餃子全体から味がたっぷりしみ出してくるので、何もつけなくてもどんどん食べられる。確かにこの餃子なら醤油は不要だ。

水餃子、蒸し餃子、焼き餃子のいずれもそれぞれ味が異なっていた。水餃子は口当たりよくさっぱりとした味わい、蒸し餃子は具に入った白菜の風味が絶妙、焼き餃子は肉の味が濃厚、といった具合であった。ところが王さんにそれぞれの餃子の具の違いを伺うと「どれも同じ皮と具で、調理方法が違うだけです」とのことであるから、これも驚きである。

調理方法が変わるだけで、同じ材料が全く別の味になる
蓬莱閣と同じ名前の日本酒「残草蓬莱(ざるそうほうらい)」(780円)

美味しい餃子を食べていたら、お酒がほしくなってきた。王さんが「池波さんは日本酒をよく飲んでいたそうです」と話していたので、日本酒を注文して餃子に合わせてみた。

餃子と日本酒とは意外な気がするが、これが非常によく合う。さすが池波氏といった組み合わせだ。ちなみに池波氏はいつもひとりで来店し、静かに飲んでいたそうだ。