【サッカー】20年目のJリーグが改革、チケット購入もより簡単に

キックオフカンファレンスが3月2日、翌3日にFUJI XEROX SUPER CUP 2012が行われ、20年目のJリーグが始まった。ピッチ内外での改革を打ち出した。

行って来ました、3月2日の2012Jリーグキックオフカンファレンスへ。都内ホテルにJ1・J2全40チームの監督・選手代表1名が一堂に会すキックオフカンファレンスは、プレスにとってシーズンの幕開けを告げる恒例行事である。20年目を迎える今季は、ファンの視点に立って、よりJリーグを楽しんでもらう改革がなされた。

J1・J2の選手40名がキックオフカンファレンスの壇上にズラリ  

J1昇格プレーオフの導入であったり、J1・土曜日、J2・日曜日の原則開催などがそうだ。中でも注目したいのが、そして「プラス・Quality・プロジェクト」だ。簡単に言うと、前後半90分間ある試合時間で、サッカーをしている時間を増やそうという取り組みである。サッカーではファウルやセットプレーなどで、しばしば時計が止まる。90分間の中で、実際にサッカーをしている時間は60分にも満たない。ンは「試合自体の魅力をさらに向上していこうというもの」と説明した。ファウルを受けた時のレフリーへの異議やアピール、ファウルを受けていないのに延々と痛がっているそぶりを見せる遅延行為を撲滅しようというプロジェクトである。思えば、昨年急逝した松田直樹さんは、敵味方に関係なく、遅延行為を忌み嫌っていた。微妙なファウルを受けた自軍の選手が倒れたままだったとき、松田さんは駆け寄り有無を言わせず、味方の選手を立たせた。「時間稼ぎなんてセコイことをせずに、早くサッカーをやろうぜ」と意思を明確にしていたのだった。大東チェアマンは「観戦するファン・サポーターにとって不快なシーンを排除していく。すぐに取り組むべきこととして、各クラブの選手、監督、審判と一丸となって、異議・遅延の撲滅を実現していく」と力強く宣言した。ただ、塩梅が難しい。ファウルをして、自軍の守備陣形が整っていないのに、相手チームにすぐボールを渡せば、ピンチに陥る。ボールを持ち、ファウルがあった地点を通り過ぎながら、ボールを手でポーンと投げ渡すのは常識である。Jリーグで戦うだけならいいが、アジアの戦いであるACLがある。Jリーグで育った人間が欧州へ移籍したり、代表に選出されていく中で、「清く正しく正々堂々」を貫いていけるほど、フットボールの世界は生易しくはないのだから……。

ACLを戦う4チームから選手が登場。写真右から北嶋秀朗(柏)、楢﨑正剛(名古屋)、明神智和(G大阪)、森重真人(FC東京)  

ACLがJ1リーグ戦選のひとつの肝となるだろう。J1リーグ優勝戦線は柏、名古屋、G大阪の新3強を中心にした戦いが予想されている。ここでアジアの戦いが厄介になる。グループリーグで韓国や中国の東アジア、オーストラリアなどでのホーム&アウェイ戦を強いられる。決勝トーナメントともなれば、中東勢とのアウェイ戦も待っている。J1リーグ戦で対戦相手が1週間キッチリ調整しているのに対し、アウェイ後に中3日で次戦に備えなくてはならないビハインドも出てくる。昨年までは土・日開催で中2日か中3日かの違いだけで、明らかなコンディションの差が出てきた。原則土曜日開催となり、日にちの条件は同じだが、国内の戦いかアジアの戦いの距離の違いは重くのしかかる。ストイコビッチ監督は「今年の柏にはACLがある。彼らも苦労することだろう」とニヤリ。上位陣にとっていかにACLと向き合うかは、J1リーグ戦をも大きく左右することになる。

もちろん、選手たちはACLを捨てたりはしない。柏・北嶋は「今までは第三者の立場で見ていた。名古屋やG大阪が何度も大会に出ている姿を見ていてすごく大変と思う半面、うらやましいと思っていた。その舞台に自分たちが出られることを誇りに思っている。厳しい日程の中でもやっていけるように、良い成績を残せるようにがんばりたい」とキッパリ。勝ち抜くために必要な要素として、名古屋・楢﨑が「アウェイの環境とか、細かいことを言えばきりがない。どんな状況でもいつも通りのプレーをいかにできるかが大事になってくる」と言えば、G大阪・明神も「一番大事なのは自分たちのプレーを信じ、自分たちのサッカーを貫き通すこと。過密日程や移動距離などに動じない、気にしない強いメンタルが必要だと思う」と語った。

FUJI XEROX SUPER CUP 2012を戦う両軍の監督・選手が登場。写真右からポポヴィッチ監督(FC東京)、森重真人(FC東京)、北嶋秀朗(柏)、ネルシーニョ監督(柏)  

そして、キックオフカンファレンスの翌日には、シーズンの幕開けを告げるFUJI XEROX SUPER CUP 2012が開催された。J1リーグ王者・柏と天皇杯覇者・FC東京が国立競技場で雌雄を決したのだ。この試合、柏がジョルジ・ワグネルの強烈なミドルシュートと昨季MVPレアンドロ・ドミンゲスのPKで2-1で勝利したが、敗れたFC東京も小気味いいサッカーを展開した。試合後、FC東京・ポポヴィッチ監督は「みなさんに楽しんでいただけた試合ではないでしょうか。最後の精度が足りなかったが、私たちが何を目指し、どこへ向かおうとしているのか見せられたと思う」と笑顔を見せた。柏が王者らしい隙のない戦いぶりを見せれば、FC東京は「アグレッシブな攻撃サッカー」の可能性を示した。

FUJI XEROX SUPER CUP 2012は、今季のJリーグの判定の基準となる試合だが、遅延行為に対するシビアすぎる笛がなかったのも、安心した。20年目のJリーグは、劇的ではないもののピッチ内外で確かなクオリティアップが図られることだろう。

ちなみにチケット購入もより利便性の高いサービスが受けられることに。J1・J2リーグ戦、Jリーグヤマザキナビスコカップ全試合をはじめ、Jリーグ主催試合の各種チケットを簡単に購入できる「Jリーグチケットサービス」が3/1にスタートした。詳しくはこちら。 

あおやま・おりま 1994年の中部支局入りから、ぴあひと筋の編集人生。その大半はスポーツを担当する。元旦のサッカー天皇杯決勝から大晦日の格闘技まで、「365日いつ何時いかなる現場へも行く」が信条だったが、ここ最近は「現場はぼちぼち」。趣味は読書とスーパー銭湯通いと深酒。映画のマイベストはスカーフェイス、小説のマイベストはプリズンホテルと嗜好はかなり偏っている。

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