子どもの話を聴けないママがよくやるパターン

子どもが帰宅して手を洗うのももどかしく、話し始めた時、「はいはいはい、話はあとでね。その前に手を洗ってきなさい!」とつい言ってしまうことって、ありますよね。

子どもは低学年くらいまでは、その時に頭にあることしか話せないそうです。そのためタイミングを逸すると、話しかったこと自体を忘れてしまいます。もしかしたら、ステキな話を聴き逃してしまったかもしれませんよね。

また、なにか子どもが弱音をはいたとします。そんな時、ついうっかりやってしまうこととしては、余計なひと言を発してしまうこと。

「そんなこと言わないでがんばりなさいよ」などの励ましの言葉は、親としては、子どもを激励したい想いで言うでしょうが、子どもからしてみたら、弱音を吐いてはいけないと言われたととらえて、そのうち弱音を吐くのはやめようと思ってしまうかも。

さらに例を出すと、子どもが仲のよかった友達の悪口を言っていたら、どうしますか?

つい、「そんなこと言うもんじゃないの」とたしなめたくなりますよね。ですが、仲のよかった友達のことをそう言うからには、なにかしらの理由があるからですよね。その理由を引き出す前に、子どもは口をつぐんでしまうかもしれません。

他にも、子どもがまだ話し終えていないうちから早合点で話をまとめることも、やってしまいそうです。

「子どもが本音を話しているときに、それを即座に否定するようなコミュニケーションだと、子どもはだんだん本音を言わなくなります。これを言ってもこう言われるだろうな、と引っ込めるようになるのですね」

親としてはよかれと思ってやっていることが逆の効果を産むのでは、親としても切ないですよね。

そういう意味では、多くの親が子どもの話を受け止める聴き方を身につけていないことになりますが、だからこそ、ちゃんとした聴き方ができるようになれば、親子の関係がよい方向に回り始めるのではないかと思いました。

子どもが大きくなるにつれ、物理的にやってあげることは少なくなってきますが、まだまだ社会に出るまでは、親の役割は大きいもの。

「子どもが外で落ち込むことがあっても、家で話を聴いてもらって元気を再生産できれば、経験値が上がって自分に自信がつき、他人やコミュニケーションそのものへの信頼感も育っていくのだと思います」とライチさんは語ります。

ちょっとしたコツで話は聴けるようになる!

「話を一方的に聴くのは苦痛と感じる人もいるかもしれませんが、いつもちゃんと聴く必要はないですよ」とライチさん。

人は、ひとつのトピックで話しだすと、だいたいその話を話終えるまでにかかる時間は3~5分くらいだと言われているそうです。だとすれば、一日3~5分なら聞けそうだと思いませんか?

子どもがわーっと話してきたら、あ、これが話したい衝動だなと思って、まずは子どもの話を遮らずに耳を傾けます。うんうん、と相槌を打って、ただ受け止めること数分。

話し終えた子どもがふうと息をついたら、それが「満足の沈黙」です。うちの子にも「満足の沈黙」が訪れるのかしら、と興味が出たら、ぜひやってみてください。

他にも、聴き方に使えるテクニックを、ライチさんにいくつか紹介していただきました。

子どもが話し始めた頃には自然とやっていたこと、それは「オウム返し」です。これをあらためてやってみましょう。子どもだけでなく、大人の話を聴くのにもけっこう使えるのだとか。

相手の言った言葉を、返答の中で繰り返すだけですが、これがあるとないとでは、「自分が受け止めてもらえた感」がまったく違うのだそうです。

講座内では、ライチさんが参加者のひとりを相手に、実際に「オウム返し」があるやりとりとないやりとりをみせてくれました。

ライチさんの話し方はどちらの時も等しく丁寧で、感じがいいものだったのですが、「オウム返し」がないやりとりは、なぜか冷たい感じがしました。たとえて言うなら、美容院で表面的な会話をしている感じ。(美容師さん、ゴメンナサイ!)

反対に「オウム返し」があると、とたんにやりとりの温度が上がる気がしました。ライチさんが参加者の話に興味を持っている感じが伝わってきたのです。

さらに、相手の言い方に感情がみてとれたら、相手の気持ちまでをも汲み取ってオウム返ししてみます。子どもがしょんぼりして言ったことを、うれしそうに返したら、おかしな感じですよね。