子どもに怒ってしまうのは、子どもに期待しすぎているから!?

編集部:ただ日頃子育てをしていると、頭では分かっていても「注意しない・怒らない」というのはなかなか難しいものです。何を心がければよいのでしょうか?

てぃ先生:そもそも大人が子どもを怒ってしまうのって、「子どもに期待しすぎている」からだと思うんです。

例えば、子どもがしっかりと「片づけられる」と思っているから「片づけて」と指示をして、子どもがそれをできないと怒ってしまう。子どもが自分の期待にそぐわない行動をしているように見えるから、怒ってしまうのです。

だから、まずは「その子の今の姿をよく見て声をかける」ということに気をつけてみるといいのではないでしょうか。

例えば、12時頃に子どもにご飯を食べてほしいとして、その10分前にいきなり「片付けなさい」と言っても子どもは片づけをしたがりません。なぜなら、その遊びに夢中だから。

そうではなく、例えば11時半頃に遊びがひと段落して飽きてしまっているタイミングがあれば、それを見計らって「ちょっと片づけをして、ママのお手伝いしてほしいな」と伝えてみる。そうすれば、子どもは喜んでやってくれるかもしれない。

編集部:たしかに、子どものその時の状況に関わらず、大人の都合で動かそうとしてしまうことって、結構あります…。

てぃ先生:この「子どもに期待をしすぎない」ということは、難しいですが、結構重要だと思っています。

「子どもが夜寝てくれない」という保護者の方からの相談もよく受けるのですが、よくよく話を聞いてみると、「7時には寝かせたいんです」と。でも7時って、大人でも「寝て」と言われて寝るには、少し早すぎると思いませんか?(笑)

早く寝てほしいと期待するのではなくて、眠くなるまで待っていてもいいと思うんですよね。

「ご飯を食べてくれない」というのも同様で、おなかがすいたら食べればいいくらいの気持ちでいればよいではないでしょうか。7時にはご飯を食べてほしいと期待しているから、食べてくれないと怒ってしまう。でも、その子にはその子のタイミング、状況があると思うんです。

保育園の僕のクラスでは、何時にお昼ご飯を食べましょうというルールは作っていません。12時くらいに声かけをすると、お腹がすいた子は遊びをやめて片付け始めます。そして、先に片付け終わった子から「いただきます」をします。

一方、そのときにまだ遊んでいたいって言う子は「どうぞどうぞ」と言って、そのまま遊ばせたままにしているんです。そういう子たちも、おなかがすいたら自分で片付けを始めて席につきます。

12時に食べるはずが、夕方5時6時まで食べない、というなら考えものですが、それが12時か12時半か、というくらいならば、その子の食べたいタイミングに合わせてもいいと思うのです。

この時、「社会性が」「協調性が」といったことを気になさると思いますが、この点は他の活動で補えばいいだけ。食事だけでそういったことを身につけるわけではないですからね。