そして「ラブリー」へ。前回のライブで「感じたかった僕らを待つ」と変更された部分は、オリジナルの「LIFE IS COMIN' BACK」のままで歌われていた。背景には高層ビルの影絵が並ぶ。これからも、東京の街が音楽を奏でますように。生活がみんなに戻ってきますように。という、祈りだったんじゃいかなと、思う。いつか悲しみで胸がいっぱいでも、日々は続いていくし、そのぜんぶが祝福にあふれていると、私は信じたい。大合唱のラブリーを聴きながら、続いていく日々の愛しさを思い、小さく祈る。

「じゃあブチ切れちゃおうかな」とギターをエレキに持ち替えて「ある光」。美しいストリングスとともに光が会場に広がって放たれる。オペラシティ中が光に満ちる。「let's get on board」のコーラスの一部が「光よ、一緒にいこう!」と変更されて歌われる。会場ぜんぶの光が解き放たれてドラマチックに歌が終わる。ガッツポーズをとるオザケン。

大きな歓声のあとの静寂を縫って「新曲です」と「神秘的(ものかたりす)」。美しいメロディをやさしくなぞるように、「神秘的 でもそれは台所の音のように 確かな時を遠く照らす」と歌われる。これは、私たちの生活の歌。続いていく、美しい日々の歌。ステージにはふたたび青い照明が海を描き出す。

「今回は、全部の曲を新しくして、全部壁画としてここでしかできないようなものをやりました。チケットがちょっと高いなと思ったと思うんですけど、でも予算をかけてできることはいいなと思っていて、『我ら、時』にしても、形にしながら確認したこともあるし、意味があったなと思っています。こうやってつながっている。絶対に、長く楽しめると思っています」 

と、最後に発言し、退場する。確かに、チケット代も、『我ら、時』も高くて、買うのを躊躇する金額ではあったけど、いま彼が言ったように、予算がかかっても、きちんと心と心がつながるようなもの、が、これから先必要なんだろうなと思う。

それは、コンサートの冒頭で「音楽は生きるために必要なものではありません」という言葉を放った彼の、回答であり、覚悟であり、しあわせな時を、みんなで思うための、私たちの重要な手段だと思う。

アンコールはオープニングモノローグのゲストNARGOとともに「ドアをノックするのは誰だ?」を披露。陽が昇り、そして光が差す。最後に陽が落ちてドアノックが終わり、メンバーとがっちり握手。そしてソロになり、もう一度「東京の街が奏でる」を演奏して、3時間半にも及ぶ、長い長いコンサートの一夜を終えた。

…が、鳴り止まないアンコールを前にふたたびステージに登場した小沢健二は「BOSEが"彼らはもう帰らないって決めたんだよ"っていうから(笑)」と言い、感謝の気持ちを言葉にした。2012年3月25日、日曜日。こうして第三夜の幕が閉じた。私たちの時は、刻まれ続けている。