――今と80年代を比較して、何が一番違うと思いますか?

香坂「80年代は今よりずっと不便だったけれど、それを不便だと思わないパワーがあったと思います。便利になって、人が動かなくなってしまったというか。子どもたちもケータイやゲームがないから、体ひとつで遊んでいました。今はゲームを取り上げると『やることがない』と言うし、『外で遊んできなさい』と言っても、『何をして遊べばいいの?』という感じ」

――80年代は、今よりも自分で楽しいことを探す力があったのかもしれないですね。

香坂「みんながもっとワクワクしていた気がします。コンビニもファミレスも今よりは少なかったし、靴下に穴が開いたらどう塞ぐか、待ち合わせの相手と連絡を取るにはどうすればいいか……って、知恵を絞っていました。こういうことって、生きる上ですごく大事なことだと思うんです」

早見「最近は、電話番号を覚えなくなったよね」
香坂「そうそう。私なんか、小学校、中学校の友達の家の電話番号は今でも覚えてるもん(笑)」

早見「不便な時代と、便利な時代の両方を経験できた私たちは、すごく幸せなんだと思います。昔は国際電話で月10万円くらい払っていたのに、今はスカイプでタダですからね。ファックスが出てきたときも感動して、友だちと何度もやり取りをして月に何万円もかかったりしたけれど(笑)、今はメールで時間もお金もかからない。本当にすごい時代になったと思います。でも、いろんな部分で時間が節約できるようになって、かえって他にやることが増えてしまって、忙しくなった気もしていて。昔のほうが、心にゆとりがあったかもしれないですね」

――ものの価値も、ずいぶん変わりました。

早見「今では高校生でもルイ・ヴィトンやシャネルを持っていたりするけど、当時は大人しか持たないイメージがありました。だから、最初ヴィトンのバックを手にしたときは、大人の仲間入りできた感じがして、すごくうれしかったことを覚えています。母が買ってくれて……と言っても、お給料の管理は母がしていたので、私のお金だったと思うんですけど(笑)」

香坂「今はショップが至るところにあって、ブランド物が手に入りやすくなったものね。昔は“銀座のこの店に行かなければ手に入らない!”という感じで、それこそ決死の覚悟にお店に入っていたから」

早見「ちょっと見てみよう、という軽い気持ちではなかったですね。買うと決めないと、お店に入れない」

香坂「最初はスカーフから見て、カバンの方も見に行きたいなと思って、でも高くて行けなくて」
早見「そうそう、当時はエルメスのスカーフをいっぱいもらったなあ。今は子どもたちの目隠し用に使ってるけれど(笑)」

香坂「なんて豪華な子どもたち(笑)」