LIPHLICH(左から)久我新悟(Vo)/小林孝聡(Dr)/進藤渉(B)/新井崇之(G)

——「ウレぴあ総研」久々の登場になるLIPHLICHですが、大きな変化として、まず新ドラマーである小林孝聡さん加入のいきさつから伺わせてください。

久我新悟:今回のアルバム『蛇であれ 尾を喰らえ』とツアーの構想は、去年の早い段階からあったんです。前のツアーと同時進行で“破壊と創造・ウロボロス”というテーマで考えていました。

そして新曲を作り、レコーディングの真っ只中にドラマーの丸ちゃん(丸山英紀)が脱退してしまったので、てんやわんやだったんです。

——青天の霹靂状態だったと。

久我:突然でした。丸ちゃん自身の限界もあって…、オフィシャルサイトの文章の通りなのですが。「脱退する」ということは受け入れてはいたのですが、結構当日も頭真っ白に近くて。「この先どうなるんだろう…」みたいな。

なにも明確に決まっていないけど、予定を延期する訳にもいかないから、知り合いの信頼できるドラマーの人達に当たってった時に、小林孝聡くんが引き受けてくれるっていうことで…。
頼んでもいないのにいきなりLIPHLICHの持ち曲60曲ぐらいを叩けるようにしてきてくれたんですよ。

小林孝聡:ずっと近くで後輩としてLIPHLICHを見てきたということもありましたし。

久我:「じゃあレコーディングは参加してもらおう」ということになり、その10日後ぐらいにクリスマスイブでライブがあったんですよ。それもなんとかしなきゃってことでお願いしたところからでしたね。

進藤渉:実は彼が前のバンドをやっている時でしたが、1回だけ彼のバンドをサポートしたことがあったんですよ。何回かスタジオに入ったことがあったので、彼のドラマーとしての波長みたいなものは分かってはいました。

でもLIPHLICHの曲でどれだけできるのかは分からなかった訳なのですが、見事にやってくれて驚きましたね。後、そのクリスマスイヴのライヴは全てアコースティックアレンジで演奏する内容だったんですよ。

小林:そうなんです! せっかく全曲覚えてきたのにまた新しいアレンジ覚え直しっていう(笑)。


久我:しかも前日リハしか4人で合わせられた日がなかったんだよね。

新井崇之:それでも、「こういうアレンジは?」って案を出してくれて、それでいこう!ってなるシーンもあったりして。

——バンド然としたまとまりみたいなものは、早いうちから見えてきていたんですね。

新井:彼は歌も歌えるんですよ。だから歌に合わせて全体の曲の雰囲気を作るような気持ちいいドラム叩いてくれるんです。器用だなって思いましたし…。

あと、今回のアルバムは丸ちゃんが叩いて録れていたところも、やっぱり全曲統一感があったほうが良いってことで全て録り直したんですよ。人が変わると細かいフレーズや音も変わるじゃないですか。小林くんらしい曲によく絡む良いドラムを叩いてくれましたね。それに、元々知らない仲でもないわけですし。

だから小林くんからも僕らからもいろいろ言いやすいし、気持ちいいコミュニケーションがとれますよね。ライブでもちゃんと主張の強いドラマーなので、あわせてても楽しいし。

小林:ありがとうございます(笑)。

久我:純粋で貪欲なところが素晴らしいと思います。「LIPHLICHやりたいです!」って正直に言ってくれたところとか。サポートの人って様子見たりして隠すじゃないですか。そういう中で、ちゃんといろいろ考えた上で自分の意見をぶつけてくれたのは嬉しいことでしたし、そうあるべきだと僕も思うので。そういうのもあって加入発表が早かったんだなって思います。