子育て中のママが「うちの子は何度叱っても、言うことを聞かない」と嘆いていることがあります。でも、親の行動をよく観察してみると、言っていることと、やっていることがずれてしまっていることがあります。

そこで、今日は『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子が、親のしつけの一貫性についてお話します。

前言撤回している例

“前言撤回”という言葉があります。「前に言った言葉を取り消すこと。すでにした発言や意見を打ち消すこと」の意味です。

「朝、命令したことを夕方翻す」意味の“朝礼暮改”も似た言葉です。子育てしているときもよくやってしまいますね。そんないくつかの例を挙げます。

  • 子どもを強く叱った。ひどく泣かれてしまった。
    「ああ、強く叱りすぎた」と反省し「さっきはごめんね」と親の方から謝る。
     
  • 公園に遊びに行く前、リビングに散らかっている玩具を指さして「玩具を片付けなさい!」と叱る。
    けれども、いつまでも片づけない様子を見て、「時間がなくなったから」と親が全部片付けをやってしまっている。
     
  • 「今日はスーパーでお菓子買わないわよ」と出かける前、言い聞かせたのにも関わらず、スーパーで子どもが地べた泣きして騒いだので、「じゃあ、一つだけよ」「今日は特別よ」と言って買ってしまう。
     
  • 「玩具を片づけないんだったら、もう二度と買わないからね」と言いながら買ってやる。
    「玩具を大事にしないんだったら、捨てちゃうからね」と言って捨てることはない。
     
  • 「もう9時よ!早く寝なさい!」と叱りながら、パパが帰ってきたからと遊ぶのを許している。

学級崩壊している例

私は長年、学習塾を経営していました。

その中でなかなかクラスがまとまらない、いつも教室内がザワザワしているクラスがありました。でも、先生が優し過ぎて叱ることを一切しないかといったら、そうではありません。

かえって口やかましいくらいです。でも何度も注意しているのにも関わらず、子ども達の私語が止まないのです。

その原因はこんなところにありました。

例えば・・・

  • 先生は「黒板を見てください」と指示を出す。けれども3~4人よそ見をしている子どもがいる。
    「前を見ていない生徒がいるけれど、今、ここで全員が前を見るまで待つと今日の指導案がこなせなくなり授業時間が足りなくなる。だから、まあ、いいか」と授業を進める。
     
  • 先生が「お喋りはやめましょう」と注意する。でもまだ私語をしている生徒がいる。
    けれども、全員が静かになるのを待つことなく見逃して次に進める。
     
  • 授業の終了時の挨拶。「挨拶するときは先生の目を見ましょう」と指示を出しながら、見ていない生徒がいてもそのままにして「3時間目の授業を終わります」としてしまう。

これを続けていると、生徒達は「先生は口で言うだけ」と思うようになります。更に指示に従わない生徒の真似をするようになります。こうしてだんだんクラスに秩序やけじめがなくなり学級崩壊していきます。