さてそんなサイボーグ戦士達の能力も、人体に埋め込むことはともかくとして、現代で実現可能なものがいくつもある。例えば003:フランソワーズ・アルヌールの視覚や聴覚の強化は、既に実現していると言えるだろう。高性能の望遠鏡や顕微鏡、収音マイクなどは既に実用化されており、いろんな場面で使われている。そして004:アルベルト・ハインリヒの小型の銃器や、006:張々湖の火炎放射器なども実用化されている。両足からジェットとまでは行かないが、単体で飛行する機械は、1984年のロスアンゼルスオリンピックの開会式で披露された。また体に補助機械を取り付けることで、大きな力を発揮することができるものもある。これは005:ジェロニモ・ジュニアの前段階と考えることができそうだ。

ただし実現には遥かに遠いものもある。例えば潜水具はかなり改良されたものの、008:ピュンマに追いつくには、まだ何年もかかりそうだ。そして001:イワン・ウイスキーの超能力や007:グレート・ブリテンの変身能力は遠く及ばず、009:島村ジョーの加速装置も、それに耐えうる人間の体ができそうにないだろう。こうして考えれば、サイボーグ戦士の能力も、まだまだ夢のものであり、先の「しょぼい」発言は取り消した方が良さそうだ。

さて長年に渡って活躍してきたサイボーグ戦士だが、作者の石ノ森章太郎氏の死去により、未完のまま終わるかと思われていた。しかし現在、インターネット上の小学館「クラブサンデー」にて『サイボーグ009 完結編 conclusion GOD’S WAR』が連載中である。これは石ノ森章太郎氏の長男である小野寺丈氏や石森プロが中心となり、残された石ノ森章太郎氏の原案などを元に制作されたものだ。7月現在4話まで描かれており、今後どのような形になるかは不明だが、ファンならずとも読んでおきたい作品だろう。ちなみに無料で読むことができるが、期間限定なのでご注意を。

そんなサイボーグ戦士の活躍を、違った形で体験できる場がある。それがお台場の日本科学未来館で開催中の科学で体験するマンガ展[http://www.kagaku-manga-ten.jp/] だ。ここでは最新の技術を取り入れて、漫画と融合させた体験が可能になっている。用意された漫画は『鉄腕アトム』『ドラえもん』『ひみつのアッコちゃん』『サイボーグ009』『怪物くん』の5作品。それぞれに2つの企画が用意されており、もちろん漫画やキャラクターにあったものが体験できる。