「急がば回れ」という諺があります。でも、急いでいると回る時間的余裕なんてありませんよね。

子どもがグズグズ支度をしていると、「遅刻しちゃう」と思い、「早くしなさい、自分のことは自分でしなさい」と叱りつつ、親が手を出し手際よく済ます“見切り発車”、そんなことありませんか?

1人でできる子になる 「テキトー母さん流」 子育てのコツ』の立石美津子がお話します。

急がば回れ

意味は…「急ぐからといって慣れない近道を通れば、道に迷うなどして、かえって遅くなる。それよりも、多少の手間や時間がかかる回り道であっても本道を行くほうが、結局は早く目的地に着く。」

親が子どもの手伝いをしたり、注意したり叱っていたりする間は、親自身の身支度が出来ないでいます。

服も適当に選び、化粧もできません。なので、毎日毎日「自分のことは自分でしなさい!」「早く準備しなさい!」と連呼し躾ようとしますが…急いでいるので時間切れになってしまい最終的には親が手を出してしまいます。

そうなると、子どもは子どもで「グズグズしていても最終的には親がやってくれる」と学習してしまい、結局は子ども自身が早くすることが出来ないままになってしまいます。

学級崩壊のクラス

筆者は20年間、学習塾(幼児~小学校低学年対象)を経営していたのですが、学級崩壊しているクラスがありました。

そこには共通する傾向がありました。

それは…生徒に対して指導者である先生は「静かにしなさい」「先生の方を見て」と叱ってばかりいるのですが、いつまでも静かにならないとつい「このまま注意することに時間を割いていると、今日の○○の指導計画が終わらなくなる」と思い、見切り発車しているタイプの先生です。

こうなると最後のご挨拶でもこんな感じ。

教師「立ちましょう。先生の方を見ましょう」※前を見ていない子がちらほらいる。
教師「これで○○の授業を終わります。ご挨拶します」
生徒「有難うございました」※挨拶しない子がいてもスルーして終了!

全員が先生の方を見ていなくても、まだ座ったままの生徒がいても、そのまま挨拶して授業を終えてしまいます。

こうなると生徒たちは「先生は口で言うだけ、実行しない」と思うようになります。注意する回数は多くても、“馬の耳に念仏”の状況となります。そして学級崩壊の道へまっしぐらです。

家庭でも同じ

Ⓒあべゆみこ

上記の例は家庭内でも同じことが言えるのではないでしょうか。

子どもに「片付けなさい」と指示を出しながら一番手を動かしているのは親だったり、「食事中、席を立たないで」と叱りながら、食器を持って子どもの遊んでいる玩具のある棚のところまで行って食べさせていたり…。