■じつは武井咲がウザかわいい『東京全力少女』

『東京全力少女』公式サイトより

そして、武井咲が3クール連続の主演として出演しているのが、日テレ系水曜10時に放送中の『東京全力少女』だ。冒頭で説明した通り、初回から視聴率は1ケタで、まったく人気はない。

ただ、このドラマは、実際に見るとみどころも多くて、意外と面白い。

武井咲が演じているのは、麗(うらら)という名前の少女。19歳の誕生日に死んだと聞かされていた父親がじつは生きていると母・さゆり(堀内敬子)から聞かされ、父親を探すために、香川県の琴平から単身上京するが、偶然出会った弁護士の父・卓也(渡部篤郎)は女性にだらしなく、金使いも荒い。
そこでこの父親を自分が幸せにしようと奮闘するハートフルコメディだ。

麗の性格は明るくポジティブで、何事にも全力で立ち向かう猪突猛進タイプなので、何かと空回りすることが多い。こういう主人公は最近人気がなく、ただウザいだけと、敬遠されることも多い。それが初回の数字にも現れているのかもしれない。

ただ、このドラマの武井咲は明るさにイヤミがなく、ウザ可愛いキャラクターになっている。このあたりは、武井咲が本来持っている資質なんじゃないだろうか。

渡部篤郎が演じる父・卓也も、独身生活を満喫していたマンションにいきなり麗が転がり込んできたので、迷惑この上ない状況なのだが、15年ぶりに会った娘を放ってはおけずにオロオロする感じがまた可愛い。本来、渡部篤郎がコメディ向きだとは思わないが、ここでの武井咲とのコンビでは絶妙な掛け合いを見せている。

卓也のまわりにいる女性は、モデルの華子(比嘉愛未)、クラブのママ・はるか(森カンナ)、スポーツクラブのインストラクターでバツイチ子持ちの冬(市川由衣)という3人。それぞれにハッキリとキャラクターが分かれていて、ここもバランスは悪くない。麗は卓也を幸せにするためにも、この3人の本性を見極めようとするのだが、序盤はとにかく空回りする状況が続いている。

もうひとつ、麗が上京する時に深夜バスで知り合った大輔(三浦翔平)の実家で、外国人専用シェアハウスも経営する「カフェ玉川(たまりば)」という場所も登場するのだが、ここにいる人たちも個性があって面白い。店の雰囲気も独特で、ドラマ全体のいいアクセントになっている。