“土台作り”に時間をかけたほうがうまくいく

――最近では婚活アプリなどのネット婚活もカジュアル化していますが、ネット婚活はどう思いますか? ネット婚活ならば登録している人が多い分、出会える確率も上がるのかなと思ってしまいますが。

要は、たくさんの人の中から選び放題ですよね。

清田「本にも書きましたが、ネットの出会いというのは、一対一の「デート関係」になるまでがわりと簡単という部分に大きな特徴があります。

リアルでの友達や知り合いから始まる一般的な出会いでは、デート関係になるまでそれなりの時間と労力がかかりますよね。相手との距離を慎重に縮め、ようやくデートまでこぎつけられるわけで。ネット婚活はいきなりデート関係から始まるので、そこが難しいところであり、楽しい部分でもある。

男性とのデート経験があまりない方がデートの経験を積むには良いと思います。しかしそこには、出会って、相手のことを知って、自分のことを知ってもらって、だんだんと仲良くなって……というプロセスの中で築き上げていく“関係性の土台”がないので、デート関係から始まったとしても、まずはその土台を作る基礎工事に時間をかけたほうが上手くいくと思います。

また、ネット婚活は情報も不足しています。リストの中には無数の候補者がいるため“情報過多”だと考えがちですが、実は相手のプロフィールで分かるのは顔写真や年齢、仕事やちょっとした趣味くらいですよね。実際にお茶や食事を2~3回しても、とりあえず変な人ではなさそうとか、きちんとした会社で働いているんだなとか、会って分かるのはせいぜいそれくらいです。

2~3時間のデートを2~3回したとしても一緒に過ごす時間は10時間。「デートを2~3回すればだいたい相手のことが分かるはず」とアドバイスされることもあるかもしれませんが、相手のことを知るためには、もっと時間をかけたほういいのではと考えています。

たくさんの人の中から選び放題と言っても、例えば大きな図書館を想像してみてください。本が好きな人なら、たとえ無数に本があったとしても、まずは好きなジャンルの棚へ行き、そこから好きな本を選べると思います。自分の脳内で絞り込み検索ができるからです。

しかし、あまり本を読まない人は、自分の好きな本すら分からないので、どの本を選べばいいのか途方に暮れてしまう」

――では、ネット婚活で成功する人は、元々恋愛が上手な人ということですか?

清田「出会いというのは、「恋愛を目的とした出会い」と「恋愛を目的としない出会い」に分けられます。合コンや婚活アプリ、婚活パーティーのようなものが前者だとしたら、後者は、学校の同級生や仕事の同僚、趣味の仲間といったところです。

例えば後者の場合、学校や会社のような場所で知り合い、体育祭や文化祭に参加したり、グループワークをしたり、一緒にプロジェクトを進めたりする中で、段々と仲を深が深まり、「あの人良いかも」と恋愛感情が芽生えていく……といったことを経験したりしますよね。

婚活市場でガシガシ出会っていくより、後者のようなスタイルで恋愛を育んでいくほうが向いてるって人もいると思います。

もちろん、職場にも友達にも良さそうな相手がいないから合コンや婚活に出向いてるんだよって話だとは思いますが……恋愛が苦手な人は、互いのことをじっくり見定められる「恋愛を目的としない出会い」のほうが結果的にうまくいくような気がします」

――ということは、「恋愛を目的としない出会い」で恋愛につながった経験のない人が婚活サイトで頑張っても相手を見つけられないということですか?

清田「そもそも、婚活で頑張るって何なんでしょうね……。我々が話を聞いた女性の中には、「1回街コンに行ったら絶対に5人以上と連絡先を交換する」「今月は必ず週に2人とご飯する」と自分にノルマを課している人もいました。

時間と労力をかければ成長できる勉強やスポーツと違い、恋愛は人間を相手にするものなので、努力と結果が正比例してくれないことが多い。頑張りが空回りして、徒労感だけが残る、なんてこともあります。

婚活で多くの人と会っても、初対面の人とお茶をするスキルは上がるかもしれませんが、それがイコール交際につながるとは限らないのが難しいところだと思います」