■『変態仮面』の遺伝子を継ぐ漫画たち

最後に、この2010年代にも存在している“変態”漫画を3つピックアップしたい。いずれもヒーローまたはヒロインが、変態的なコンセプトで戦う作品だ。

 

【便器部門】『うんP先生』 作:大和田秀樹 角川書店

 

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作者は『ムダヅモ無き改革』『機動戦士ガンダムさん』などで知られるベテランの大和田秀樹氏。貧弱な小学校教師がひょんなことから“う○この神様”と契約してしまい、変身ヒーローになる物語だ。頭にう○このオブジェを載せ、全身は『変態仮面』をリスペクトするようにブリーフ1枚。「アディオス・ウン・コガディール!」の掛け声で変身し、トイレの吸盤やブリーフ投げなどを駆使して戦う。『変態仮面』のターゲットが中学生とするなら、こちらはもっと幼い小学生、あるいは小学校当時のノスタルジー気分に浸りたい大人むけだろう。なまじ作者の画力と構成力が高いため、トホホな作品内容とのギャップがおもしろい。

 

【脱衣部門】『ヌードファイター柚希』 作:為永ゆう 小学館

 

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脱げば脱ぐほど強くなるという伝説の拳法――“裸拳(らけん)”の継承者として生まれ育ったヒロインが、平穏な学園生活を望みながらも戦いに巻き込まれていくセクシー系コメディ。企画段階ではむさ苦しい野郎同士が裸で戦う構想もあったそうだが、編集者に猛反対されて(そりゃそうだ)美少女たちが脱衣しながら戦う漫画となった。少年誌ではなくケータイコミックサイトでの連載作だけに過激な描写が多い。ターゲット層としては十代後半以降、やや大人むけだろうか。

 

 

【お漏らし我慢部門】『黄金の酔拳士(ドラッケン)』 作:太陽まりい 小学館

 

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酔えば酔うほど強くなるという伝説の拳法――“酔拳(すいけん)”の継承者として生まれ育ったヒロインが、尿意に耐えながらも悪の組織と戦っていくセクシー(?)系コメディ。小学館が送り込んだ第2の変態漫画である。ヒロインは誰にも負けない酔拳使いなのだが、アルコールがもつ利尿作用により非常にトイレが近い。そのためもっぱら敵は悪党ではなく、自分の尿意というわけだ。頬を赤らめ、よだれと涙を垂らしながらトイレを我慢しつつ戦う美少女……まあ、なんというか、ターゲット読者層はどこなんだよというか、その、趣味は人それぞれですから……ね? 

 

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。