セキュリティソフトに新たな流れ、多様化するライセンス形態と対応デバイス

2013.4.15 19:26配信

パソコンでインターネットを安全に利用するには、コンピュータウイルスの検知・駆除、フィッシング詐欺サイトなど危険なウェブサイトへのアクセスの遮断、不正侵入防止などの機能を備えた「セキュリティソフト」の利用が欠かせない。

セキュリティソフトは、定番ソフトとして、一見あまり変わっていないように見えるが、パソコン・インターネットを取り巻くトレンドやユーザーの利用形態の変化にあわせ、進化し続けている。スマートフォンの普及を受けて、1本でパソコンとスマートフォンをまとめて保護するマルチデバイス(マルチプラットフォーム)対応タイプが登場するなど、新たな動きも出てきた。最新のトレンドをまとめよう。

●メーカー別トップ3は、トレンドマイクロ・シマンテック・ソースネクスト

現在、国内では、数社・数ブランドのセキュリティソフトが出回っている。通常、CD/DVD、USBメモリなどのメディアにソフトを収録したパッケージ版よりもダウンロード版のほうが安いが、パソコン本体との同時購入割引キャンペーンや店舗独自の値下げが反映された実際の販売価格を比較すると、パッケージ版のほうが安い場合もある。基本的に中身は同じなので、価格はもちろん、ライセンス番号の保管のしやすさ、購入からインストール完了までにかかる時間・手間、決済方法などを考慮して、自分に合うほうを選ぼう。

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2013年1~3月の3か月の累計で、セキュリティソフトのメーカー別販売本数1位は、「ウイルスバスター クラウド」シリーズのトレンドマイクロだった。シェアは36.9%。以下、シマンテック(24.8%)、ソースネクスト(22.4%)、Kaspersky Lab(9.1%)、キヤノンITソリューションズ(4.6%)の順だった。上位5社だけで、セキュリティソフトの販売本数の95%以上を占め、残りの数%を十数社で分け合っている。なお、「BCNランキング」の集計対象は、量販店の店頭とネットショップで販売するパッケージ版だけで、ダウンロード版は含んでいない。

ウイルス対策をはじめ、さまざまな機能を搭載した総合セキュリティソフトとして、現在、シマンテックは「NORTON INTERNET SECURITY(ノートン インターネットセキュリティ)」と「NORTON 360 マルチデバイス」、ソースネクストは更新料0円の「ウイルスセキュリティZERO」と、同じく更新料0円でビットディフェンダーのエンジンを使用した上位版「スーパーセキュリティZERO」の2シリーズを販売している。シマンテックは、「ノートン インターネットセキュリティ」が9割弱、ソースネクストは「ウイルスセキュリティZERO」が8割弱を占め、ともに以前から取り扱っていたほうが多く売れている。

●セキュリティソフトも「マルチデバイス対応」があたりまえに?

Wi-Fiやモバイルネットワーク経由でパソコンと同じようにインターネットを利用できるスマートフォンの普及は、それまでパソコン専用だったセキュリティソフトにも影響を与えた。1本のソフトでWindows、Mac、スマートフォン(Android)など、複数の環境(OS)に対応する「マルチデバイス(マルチプラットフォーム)対応」をうたう製品が登場し、元来、別のジャンルだったパソコンとスマートフォンの垣根はなくなりつつある。

トレンドマイクロの「ウイルスバスター クラウド」、シマンテックの「ノートン 360 マルチデバイス」、Kaspersky Labの「カスペルスキー 2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」、キヤノンITソリューションズの「ESET ファミリー セキュリティ/ESET パーソナル セキュリティ」、マカフィーの「マカフィー オール アクセス 2013」は、Windowsに加え、Macにも対応。「ノートン 360 マルチデバイス」や「カスペルスキー 2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」など一部のソフトは、さらにAndroid搭載スマートフォン・タブレット端末にも対応する。

ただし、マルチデバイス/マルチプラットフォーム対応といっても、デバイスやOSによって利用できる機能に差があるので注意しよう。例えば、キヤノンITソリューションズの「ESET ファミリー セキュリティ/ESET パーソナル セキュリティ」は、ライセンス数に応じ(ファミリー セキュリティは5、 パーソナル セキュリティは1)、Windows/Mac/Androidの各種OS向けのプログラムから利用したいプログラムを自由に選ぶ方式。「ノートン 360 マルチデバイス」「カスペルスキー 2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」も同様の方式で、「ノートン 360 マルチデバイス」の場合、Windows向けの「ノートン 360」、Mac向けの「ノートン インターネット セキュリティ Mac版」、Android向けの「ノートン モバイルセキュリティ」を1本にまとめ、それらから最大3台まで自由に組み合わせて使用し、一つのプロダクトキーで管理できる。これに対してソースネクストの「スーパーセキュリティZERO 3台用」は、パッケージ版に限って、単体で販売しているAndroid向けセキュリティ対策アプリ「スマートフォンセキュリティ」(1台用・3年版)が付属する。この場合、スマートフォン向けアプリは、特典(オマケ)とみなしたほうがいい。

●使用期間・台数・適用条件……ますます多様化するライセンス形態

もう一つ、最近の新しい傾向として、ライセンス形態の多様化が挙げられる。かつて、セキュリティソフトは、1本につき1ライセンスで、1年に一度、更新する必要があった。しかし、2006年7月に、対応するOSの公式サポート終了まで更新料不要で継続して使い続けられる「ウイルスセキュリティZERO」をソースネクストが発売し、ソフト自体の安さと「更新料0円」のインパクトで人気を集めると、トレンドマイクロはライセンス形態を見直し、1本のソフトで3ライセンスまで使えるようにした。その後、他社も追従し、一時は最大3台のパソコンにインストールできる「3ライセンス」が標準になった。

ただし、3ライセンスだと、一人暮らしの学生・社会人など、1台しかパソコンを持っていないユーザーにとっては割高感が出てしまうので、現在は使用台数に応じて選べるように1~3台版を併売しているケースが多い。また、Kaspersky Labは、2012年10月発売の最新バージョン「カスペルスキー 2013 マルチプラットフォーム セキュリティ」から、従来の1台版・3台版に加え、同一ユーザーが私的に使う端末なら無制限にインストールできる「プライベート版」を用意。2013年1月~3月の累計では、「3年プライベート版」がシェア41.9%を占め、同社のセキュリティソフトで一番人気になった。3年版と1年版を合算すると「プライベート版」のシェアは49.0%となり、ほぼ半数を占める。

定義ファイルの更新などを受けられる期間(使用期間)は、更新料0円タイプを除くと、1年~3年が多い。長期割引が適用されるので、1年/1か月あたりの費用は、3年版が最もリーズナブルだ。パッケージ版、ダウンロード版とも、キャンペーンとして、使用期間が数か月分プラスされる場合もある。その場合、1か月あたりの費用は通常よりさらに安くなる。

ライセンス数や使用期間の違い、優待の有無などによって別々にカウントしたセキュリティソフトの2013年3月の製品別ランキングでは、トレンドマイクロの「ウイルスバスター クラウド PC同時購入用 3年版」がシェア17.1%で1位、ソースネクストの「ウイルスセキュリティZERO Windows 8対応版」がシェア16.4%で2位だった。

トップ10のうち、ソースネクストの「ウイルスセキュリティZERO」「スーパーセキュリティZERO」以外は、すべて更新料が必要なタイプ。パソコン本体の買い替え時にセキュリティソフトを入れ替えるなら、更新料0円にこだわる必要はなく、1年版に比べて割安で手間がかからない3年版で十分と考える人が多いようだ。また、使用台数が多い場合、Kaspersky Labが導入した新しいライセンス形態「プライベート版」のほうが安く済むかもしれない。

各社とも、購入前に機能を無料で試すことができる「試用版」を用意している。売れ行きと、セキュリティソフトとしての性能・信頼性は、必ずしもリンクしない。少々面倒だが、試用版をインストールして動作状況を確認してから選ぶといいだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

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