大人でも毎日夏休みでいいんですよ

撮影/須田卓馬

『サバカン SABAKAN』は草彅演じる成人後の孝明が語り部となって、あるひと夏の思い出を振り返っていく。時代設定は1986年。草彅自身も当時はわんぱくな少年そのものだった。

「僕もこの映画に出てきた少年のように、自転車で隣の町に行ったりしていました。地元が田舎だったもので、毎日虫捕まえたりして、泥だらけになって。あの頃は目の前の出来事が世界のすべてというか。1日の出来事が永遠に続くような、そんな日を毎日過ごしていましたね」

小学5年生の“久ちゃん”は、同じクラスの嫌われ者“竹ちゃん”からイルカを見に行こうと誘われる。自転車に乗って、2人きりの、1日限りの大冒険。その無邪気さが、郷愁を呼ぶ。

「春日部って海もないし大きな山もないし、結構中途半端な田舎なんですけど。それでも映画に出てくる長崎の風景を見ていると、畑と田んぼに囲まれた故郷を思い出しましたね。僕にも竹ちゃんみたいな友達がいて。ザリガニ捕ったりカエル捕ったり、はっちゃけていましたよ。自転車に乗ってカブトムシ捕まえに行ったら夕立にあって、ずぶ濡れになって帰ってきたこともあったなあ」

撮影/須田卓馬

きっとこの映画を観たら、大人たちも思い出すだろう、子どもの頃の思い出を。そして、夏休みのあった小学生時代に帰りたくなる。

「僕は基本的に大人になれない大人なんで。今でも感覚は子どもだし、毎日が夏休みなんですよ(笑)。でもこの映画を観て、より感じましたね、いい意味で子どもでいたいというか、純粋な気持ちを忘れずに毎日を楽しもうって」

そう話すと、その朗らかな目元が一層にこやかに綻んだ。

「夏休みになると、宿題をするのがすごい嫌で、もう早く外に行きたくてしょうがなかった。そういう気持ちを取り戻しつつあるというか。だから大人でも毎日夏休みでいいんですよね。大人ってすぐ疲れちゃうじゃないですか。だるいとか言ってさ。

そうじゃなくて、日光浴びてさ、元気に体を動かして。クワガタ捕りとか行きたいですね。…いや、さすがにクワガタはないな。大人になって虫はさわれなくなりました(笑)」