物販や提供しているサービスとは別に、カフェを併設する店舗が増えている。最近、リニューアルや新規オープンした一部の家電量販店では、従来はなかった、オシャレな雰囲気の広いカフェがウリの一つだ。少しでも売上増につなげたい店舗側と、休日はなるべく自宅に居たくないという層のニーズが一致。人気店の行列に並ぶ一方で、買い物中は休憩するために別の店舗に向かう時間や体力すら惜しむ、「ハレ」と「ケ」を自然に使い分ける、合理的な消費者の姿が見えてくる。

「土日は子どもが安全に遊べる場所に」 ファミリー層の切実な願い

北欧発の家具と生活雑貨の専門店「IKEA(イケア)」は、北欧料理がリーズナブルに食べられるレストラン・カフェやフードコード(ビストロ)でも有名だ。名物のホットドッグ目的のリピーターも多いという。世界一の「店舗内カフェ」の成功例といえるだろう。

見た目にインパクトのある「インスタ映え」する食事・スイーツは、その場でしか得られない体験・経験を提供する「コト体験」そのもの。さらに、味や店の雰囲気など、カフェ自体が評判になれば、客層を広げる効果が期待できる。

また、幼い子どものいるファミリー層にとって、店舗内のカフェは別の価値をもつ。キッズスペースや、子どもがよろこぶクルマ型の買い物カートなどを完備し、子連れで安心して来店できる店舗は心強い。その中に、自分好みの食事・スイーツをゆっくり食べられるカフェや持ち込み可の無料休憩スペースがあれば、食事のために別の店に移動する時間をカットでき、さらに都合がいい。

リアル店舗は、インターネット通販にはないメリットを打ち出す必要に迫られている。オンライン対抗策としても、質の高いカフェは有効だ。

広がるシェアリングサービス “居場所”をソトに求めて

シェアリングエコノミー協会の理事を務めるガイアックスは、国内外における代表的なシェアリングサービスについて、衣服などファション関連アイテムのフリマや試着、一時的に必要な品のレンタルなど、従来の所有にこだわらない「モノのシェア」、民泊やコワーキングスペースなどの「場所のシェア」、カーシェアリング、自転車のライドシェアなどの「移動のシェア」、そしてクラウドソーシングなどの「リソースのシェア」の4つの領域に分けている。

「場所のシェア」系シェアサービスの一つ、コワーキングスペースのスポットとして、カフェを含む飲食店では、アイドルタイムや通常営業外の時間帯に、食事を提供せず、場所だけを貸し出す事例が今後は増えそうだ。

予約には専用のスマホアプリを使い、モバイル決済サービスに対応していれば、支払いまでスマホ一つで完了する。オフィスなら「会議室のシェア」、普通の住宅なら「民泊」となり、イスと机、Wi-Fi環境、電源がすべて揃ったカフェは、仕事や事務作業に最適なコワーキングスペースに早変わりする。

日本の平均的な住宅は狭い。間取りによっては、壁に沿って家電や家具を置くだけで圧迫感が生じ、さらに床の上が散らかっていると、居心地が悪くなってしまう。便利な店舗内カフェやコワーキングスペースのスポット数が増えれば、“居場所”をソトに求める人が増え、ニーズはますます高まっていくはずだ。

実際のところ、家電量販店の場合、コワーキングスペースとしての活用まで想定して店内にカフェを設置しているわけではないだろう。ただ、今後伸びる数少ない分野として、もともとの立地のよさを生かす「場所シェア」ビジネスを挙げたい。(BCN・嵯峨野 芙美)

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