心強い共演者たちと共に生きている舞台を

撮影/興梠真穂

今回は、京都校メンバーなど強烈な個性をもったキャラクターが多数登場することも注目のポイント。特に圧倒的な強さと奇天烈な言動でインパクト十分、さらには虎杖を「親友」と呼んで彼の成長にも大きな役割を果たすのが東堂 葵。その東堂を演じる小柳 心とはライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」などの作品で連続して共演、気心も知れているだけにとても心強いようだ。

「心くんとは本当に楽しくやらせてもらっています。何の心配もなく、背中を預けられる。 彼は普段から元気で、既に東堂が出来上がっている感じ。実はスタッフさんが、心くんがあまりにも“東堂そのもの”過ぎて『悔しい』って言っていたんですよ。普通だったら、この役者がこのキャラクターの衣裳を着て、このメイクをしたらどうなるか、と考えるけど、心くんはそのままで東堂だから」と、笑みを浮かべながら語る佐藤。

彼自身も「本当にそっくり」と太鼓判を押す、小柳 心の東堂には期待しかない。

個性豊かな大勢の出演者が集い、創り上げていく舞台。つい皆で足並みをそろえてチームワークを高め取り組んでいる姿を想像してしまいがちだが、佐藤はそこにはこだわらないという。

「プロとして、各々がちゃんと仕事をしてくれればそれでいい。自分がその時出せる最大限を披露すれば必ず良くなるし、誰かひとりの気持ちが乗っていくとそれに引っ張られてみんなのテンションがどんどん上がって、より良いものになっていく。

『この人、今日はこういう芝居で来たんだ。じゃあ俺はこうしよう!』って上がっていく瞬間が、すごく好きなんですよ。それでこそ、舞台として、人として生きているっていうことじゃないですか。今回初めましての方はまだわからないけど、前回からのメンバーや知っている人に関しては、そこは安心して任せられる人たちだと思います」

カンパニーへの信頼のもと、虎杖に再度向き合っているなかで感じていることは何だろう。

「自分自身がのびのびと、楽しくやらないと虎杖を演じるのは無理。例えばクールだったり影があったりする役は、内で燃やす感情がとんでもなく熱かったとしても表に出る感情が少ないから、アウトプットはあまり多くない。でも虎杖のような役の場合は、アウトプットがとても多いので精神的・感情的にどうしても疲弊してしまう。そこを乗り越えて演じきれるかが鍵になってくると思うし、自分自身にとっては楽しみな部分でもあります」