4月18日にアマゾンとベストバイが提携を発表 競合同士が手を組む理由は?

リアルに店舗を構える小売業者にとって、急速に成長するECは脅威の存在だが、ここにきて両者の関係に変化が現われてきている。米国のAmazon.comは4月18日、同国の最大手家電量販店ベストバイとの販売提携を発表。アマゾンの映像ストリーミングサービス「Fire TV」内蔵のスマートテレビをベストバイで独占的に販売するという。生存をかけてしのぎを削っていた両社が一転、“共存”に向けて手を組んだ。

米国の家電量販店を取り巻く環境は日本以上に厳しい状況にある。アマゾンをはじめとしたECの台頭が著しく、スマートスピーカーの普及による購買スタイルの変化もこの流れに拍車をかけている。

しかし、それでも家電量販店が残っているのはリアルで事前の下調べが必要な商品が少なからずあるからだ。「ショールーミング」はネガティブな意味合いで用いられることが多いが、見方を変えればリアルだからこその強みだ。アマゾンもその点は理解しており、スマートデバイスのシェア争いというテクノロジー企業間の勝負を優位に進めるために、小売業者としての競合であるベストバイに目をつけたということだろう。

ベストバイにとっては最大の強敵に自社の資源を提供することになるのだから、素直に喜べる話ではない。しかし、アマゾンを逆転するシナリオは数年前ならともかく現在では現実的ではない。それならばアマゾンの資源を逆に利用したほうが建設的だ。今回の提携に合わせて、ベストバイがアマゾンのマーケットプレイスに初出店することを発表したことからも、徹底抗戦から共存に路線をシフトしつつあることがうかがえる。

日本でも4月11日、ECサイト「楽天市場」を運営する楽天と大手家電量販店のビックカメラが提携し、共同運営のショッピングサイト「楽天ビック」を立ち上げた。こちらも競合同士ではあるが、楽天にとっては「家電」、ビックカメラにとっては「女性」という苦手分野を補えるのではないかという計算がある。

ショッピングにおけるEC比率の高まりは、すでに後戻りできないトレンドだ。リアル店舗のある小売業者も自社ECに注力しており、もはやリアルVSネットという構図ではなくなりつつある。これまでは火花を散らしていたリアル店舗・ネット店舗が、より大きなオムニチャネル戦略を描くために手を取り合うケースは、今後ますます増えてくるかもしれない。(BCN・大蔵 大輔)

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