――アニメソング(アニソン)も強いですね。

原田:海外の皆さんの最初の入り口は殆どがアニソンです。まあ、「アニソンとはなにか」という話になってきますけど、それはまあニッポン放送の吉田尚記さんが言ってたことの受け売りですが、 アニソン専門の歌手だけしかいなかった時代と違い、80年代以降タイアップも増えていろんなミュージシャンがアニメの主題歌をやっているじゃないですか。

「ヴィジュアル系」と同じで分類上でわけてるだけで、音楽は様々ですからね。「アニソンが好き」=日本人がイメージする「アニメソング」ではなく、『鋼の錬金術師』の主題歌をやっていたL’Arc~en~Cielだったり『NARUTO -ナルト-』のFLOWだったりするんです。
日本だとゴールデンタイムにアニメは殆ど放送されてないし、それも日本と海外で温度差があるんじゃないですかね。

例えば、『NARUTO-ナルト-疾風伝』の主題歌をやっていた井上ジョーくんはブラジルで1万人集めちゃうんですよね。しかもみんな日本語で歌えちゃうという。

 

『NARUTO-ナルト-疾風伝』の主題歌でもおなじみ井上ジョーは楽曲制作は全楽器・アレンジを自ら手掛けるマルチアーティスト。


――それはすごいですね。また、ONE OK ROCKのような英詞の多いバンドはどうでしょうか?

原田:ONE OK ROCKやMAN WITH A MISSIONは最近視聴者からのリクエストも増えてきますね。MIYAVIくんもですが、英語の発音がしっかりしているアーティストも強いと思います。英語で歌うなら、あのくらいきちんとやらないといけない。

それにONE OK ROCKみたいにあそこまでストイックなグランジは海外の人にとって逆に新鮮なんじゃないですかね。もしかしたら彼らの中にあったルーツ・ミュージックが、世界の人にとっては新しく聴こえているのかもしれない。

 

ONE OK ROCKの世界ツアーを追ったドキュメンタリー映画も今年5月に公開された


前にMIYAVIくんが言ってたけど、ヴィジュアル系のルーツをたどれば、グラムロックだったりするじゃないですか。それが廃れた後に、日本で残って進化したという。言ってしまえば雅楽なんかもそうですよね。

日本って世界の流行音楽が残ってそのままアレンジされちゃうっていうところはあって。雅楽からヒップホップまで、世界の最新流行音楽を日本風に変換して、それが断層を作り出しています。メルティングポットではないからこそ、それぞれが今もいきいきと輝いているんです。

日本は、さまざまな音楽が渾然一体となった「ヴィンテージワインの樽」みたいなものなのかもしれません。海外の音楽ファンは、そんな風に日本音楽の中にある「なんでもあり感」に惹かれるのではないでしょうか?

――今日はありがとうございました!