「マイノート 人生設計」

私たちの生活は、さまざまな情報に取り囲まれている。メールアドレスや銀行口座を複数持っていたり、保険に複数加入していたりすることは珍しくない。しかし、あなたはそれらをすべて管理できているだろうか。本人が管理できていないものは、家族にもわからない。

近年、文具の世界で注目を集めているのが、自分が「もしも」のときに備えて、家族に伝えたい情報をまとめておく「エンディングノート」だ。そのデジタル版「マイノート 人生設計」がジャングルから登場した。

「エンディングノート」は、病気の既往歴や、治療に対する意思表示(延命治療の有無)、そして友人・知人の連絡先などを記録し、残された家族が困らないよう、自身の思いや希望を記しておくもの。ジャングルの「マイノート 人生設計」はいわば、エンディングノートのデジタル版だ。「もしも」のときだけではなく、製品名通り、これからの人生全体を見通したプランニングができる。40代で、妻と子ども3人の筆者が使ってみた。

●家族構成など基本的な情報を入力して、シミュレーション

最初に入力するのは、家族構成だ。自分はもちろん、妻、子どもの生年月日を入力していく。「マイノート 人生設計」は、各種ノート、シミュレーション、もしもの時の通知など、50種類以上の項目・機能がある。1つの事柄に対して、1枚のカードを記入していく感覚で、さまざまな項目を記入できる。

とはいえ、不要な項目は飛ばして、必要なところだけ記入できるし、何度も書き直すことができる。すべてを最初から入力しようと考えるのはやめたほうがよさそうだ。ゆっくり考えながら、ときには奥さんと相談しながら入力するといい。

まずは「人生設計シミュレーション」を利用してみよう。ステップガイド画面の右上にあるアイコンをタップし、シミュレーションをスタートする。

「ライフプラン」を選んで、自分と妻の現在の年齢、そして年齢ごとの収入や支出、年金や退職金の有無などを細かく入力していく。すると、簡単にこの先にかかるお金と入ってくるお金の収支を一覧で表示してくれる。

子どもの生年月日を入力しておけば、子どもの小・中学校、高校への入学のタイミングなどを表示し、それぞれ必要となる項目や金額を自動で計算する。

個人的には、何年後にいくらお金が必要になるのか、ハッキリとわかるこの機能だけでも、十分に価値を感じられた。このシミュレーションをベースにいまの支出を削り、貯金を殖やすなどの長期計画を立てることができる。子どものいる家庭には、ぜひ利用したい機能だ。

●家族に向けたメッセージを記録する

続いて、「エンディングノート」のように、家族に向けたさまざまなメッセージを記録していく。例えば、いま交通事故にあい、意識不明になったとしたら、妻は誰に連絡していいか、どこにお金があるのか、またどの保険に連絡したらいいのかがわからないだろう。「マイノート 人生設計」には、そうした情報を一つひとつ記録できるのだ。

「もしもの時への備えとメッセージ」では、友人・知人の連絡先を、葬儀時と入院時でそれぞれ別途登録することができる。例えば、入院時の連絡先には仕事関係者を中心に登録しておけば、スムーズに連絡を取ることができるので、仕事での信頼を失う心配がない。また、葬儀時連絡先には、ふだん連絡を取り合っていないような方々も含めて記録しておく。すると、残された家族は、誰に連絡を取ればいいのかが、スムーズにわかるというわけだ。

「入院・介護が必要となった時」では、医療に関する意思表明を記録できる。例えば、告知の有無や延命治療をするかしないか、尊厳死、そして臓器移植などへの意思表示を事前に登録しておけるのだ。さらに、法的な拘束力は持たないものの、遺書として家族にメッセージを残しておくこともできる。

●入力済み情報だけが閲覧できる家族モードを用意

「マイノート 人生設計」は、利用者が何らかの理由でPCの前にいないときに必要となる。そのため、日常使いのPCのデスクトップなどにアイコンを置き、何かあったらこのソフトを起動するように家族に伝えておくといいだろう。

ソフトを立ち上げるとパスワードの入力が求められるが、家族にパスワードを伝えておく必要はない。「家族閲覧モード」を選択し、利用者の生年月日を入力すれば、閲覧できるようになる。

このように、家族、お金、保険、健康など、生活にまつわるさまざまな情報をまとめて管理できるのが「マイノート 人生設計」の魅力だ。「エンディングノート」というと、高齢者が自分の死を前にして残す記録というイメージが強いが、このソフトなら、働き盛りの30代から家族のために記録しておくといった使い方ができる。

また、貯金やローン、銀行、保険などは、このソフトに記録することで情報の棚卸しができて便利だ。個人としては、保険の見直しと、10年後以降の収入確保について、考えることができた。いざというときのために、そして、家族の生活を長期的視点で見つめ、ムダをなくすために、「マイノート 人生設計」は役に立ちそうだ。(デジタル&家電ライター/コヤマタカヒロ)