各分野で勃発しているAI戦争は市場の今後の主導権を左右しかねない

研究機関や法人での活用がメインだったAI(人工知能)が一般家庭に広がり始めている。昨年頃から家電や自動車などを中心にAIを搭載した製品が続々と登場し、各社も次世代のキーテクノロジーとして開発に本腰を入れると宣言しだした。

5月23日に世界最大手の半導体メーカーであるインテルは初めてAI開発者会議を開催。2019年内にAIに特化したプロセッサを投入すると発表した。同分野ではエヌビディアが先行するが、今後の成長をにらみ本格的にシェア拡大に乗り出す。

個別の製品でもAI競争は活発化している。スマートフォン(スマホ)ではファーウェイが2017年春にAIプロセッサ搭載モデルを発表したのを皮切りに、アップルやASUSなど主要メーカーも追随。テレビでもLGやサムスン電子、シャープがAI内蔵モデルの開発に取り組む。ユーザーに能動的におすすめの番組をレコメンドする以外に、画像データの処理能力を高めて高画質化するなど、さまざまな部分で性能を底上げできると期待されている。

AIによる競争はこれまでの単一機能を軸にした争いとはスケールが異なる。スマホでいえば、カメラや通信、バッテリなどあらゆる領域に密接にかかわってくる。特定の機能であればユーザーによって選り好みがあるが、基本性能の部分では優劣がはっきりとついてしまう。AIの勝敗がそのままシェアに直結するといっても過言ではないだろう。

もはやPCやスマホでWebサイトを閲覧するときに、インターネットに接続していると意識することはほとんどない。だからこそ日常の一部として普及したといえるが、AIもゆくゆくはそれに匹敵する存在になると予想される。話しかけてもそれがAIだと意識させない、開発メーカーはスペックだけでなく違和感の排除という課題にも取り組んでいく必要がありそうだ。(BCN・大蔵 大輔)