食べて、飲んで、元気になる焼き鳥屋の存在意義がここに『大須亭』(名古屋・上前津)

ガラッと引き戸を開くと、奥に延びる長いカウンターが目に飛び込んでくる。真ん中あたりに大皿料理が4、5皿ある。そのどれもうまそうだ。すぐ脇からジュージューと鶏を焼く音とともに香ばしい香りが漂ってきた。20年ぶりに足を運んだ店で目にした光景は、20年前と何ら変わりない、懐かしいものだった。
『大須亭』は昭和21年に創業。長らく名古屋の焼き鳥文化を担ってきた老舗だ。鶏は、名古屋コーチンと美濃鶏を掛け合わせたこだわりの鶏。刺身で食べられるほど新鮮な物を毎日仕入れている。その鶏に、創業以来注ぎ足されてきたたれをつけ、これまた年季の入った焼き場で焼いたその味は、単なる“うまい”を通り越している。
開店から間もなく、店内はみるみる常連客で埋まっていく。その多くが中高年のサラリーマンだ。焼き鳥を食べて、一杯引っ掛けて、マスターや女将とたわいない話をしては笑顔になる。それこそが明日への活力。常連が毎日でも通う理由はそこにあるのだ。20年前には分かる由もなかった、焼き鳥屋の真髄を見た気がした。
大須亭(名古屋・上前津)
昭和21年に創業。現在の場所に移ってきたのは30年ほど前のこと。二代目主人の太田和一さんは、血縁関係のない同店に、営業マンを辞して入ってきた異色の経歴の持ち主。

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住所:名古屋市中区大須3-44-22
営業:17:00~24:00(L.O.23:00)
休業:日
予算:2500円~
予約:できれば予約を
喫煙:可
駐車場:なし
アクセス:地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅8番出口出てすぐ
二地域いいとこ取り! ハイブリッド焼き鳥『焼酎居酒屋 いもがらぼくと』(愛知・伏見)

「焼き鳥は串で繋がる。焼き鳥店は焼き鳥で人と人を繋げる」。
この店で一夜を過ごせば、そんな格言のひとつも呟きたくなる。『焼酎居酒屋 いもがらぼくと』は、宮崎を中心とした九州料理の居酒屋ながら、どっぷり名古屋の夜に根付いた店。店に一歩踏み込めば談笑する名古屋弁が聞こえ、声の主達は一直線のカウンターに陣取り、酒と串を手に思い思いの話に華を咲かせる。
それもそのはず、店主の田村隆さんは、おそらく店内の誰よりも話し好き。その男らしいルックスからてっきり九州育ちかと思いきや、生まれは愛知県半田市。九州男児の師匠の元でみっちり修行した後、店を任されたのだそう。そう、いもがらぼくとは、九州と名古屋のハイブリッド焼き鳥店なのである。
さて、宮崎県といえば全国屈指の焼酎の産地。この店では宮崎の蔵元から直接焼酎を買い付け、その数たるや田村さんにも把握できないほど。豪快に炭火で焼き上げる日向鶏をはじめ、愛知県が誇る三河赤鶏の焼き鳥など、すべてが自慢の酒を引き立てる。もちろん酔客達は笑顔満面。ついつい隣合わせる人に話しかけてしまうのもモノの道理なのである。
焼酎居酒屋 いもがらぼくと(愛知・伏見)
名古屋の九州料理の名店『日向バンカラ』の姉妹店として伏見に生まれて10年。「赤提灯の情緒を意識した」という店内には250種以上もの焼酎が並ぶ。焼酎はもちろん、中には島外不出の泡盛「泡波」など、超希少なものもちらほら。

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住所:名古屋市中区栄1-7-26
営業:月、水/17:00~翌1:30(L.O.1:00)火、木~土/17:00~翌3:00(L.O.2:15)
休業:日
予算:3000円~
予約:できれば予約を
駐車場:なし
喫煙:可
アクセス:地下鉄東山線・鶴舞線伏見駅6番出口より徒歩約5分