そして後半は、Koji Nakamuraでのニュー・アルバム『Masterpeace』からの曲を披露。

ミニマルなシーケンス・サウンドに、ファンキーな生のドラムと、ベースで立体的・肉感的なダンス・ミュージックへと仕立てていく「Diamond」では、ナカコーはギターを置いてその歌声を響かせる。アルバムでも異色なファンキーなサウンドだが、バンドで再構築され、強靭で、つややかな香りを放っている。

また続いての「Reaction Curve」はドラマティックなミディアム・ナンバー。シックで、ループ感のあるメロディを、ブレイクビーツや重厚なギター・サウンドが縁取っていく。刻々と景色が変わりゆくようなサウンドと、静かにその熱を高めていくエモーションとが、夜の色へと変わっていく空とダイナミックにシンクロする。味わい深いひとときとなった。

「今日は土曜日か。……惜しかったね」。そういってこの日のラスト・チューンに選んだのは、SUPERCARの名曲「Sunday People」! 週末の野外でのステージ、そして心地好い、涼しい風が肌をなでるこの環境にぴったりとはまった曲に、大きな歓声が沸き上がり、オーディエンスは思い思いに体をゆらし、手を叩き、そして歌う。終始、喜びの声と拍手とであふれたステージとなった。

音楽活動をスタートして約20年、そしてひとつの大きな時代を作ったバンドSUPERCARの解散からも、約10年という時間を経て、さまざまなソロ・プロジェクトを通し、今だからこそ肩肘を張らずに自分自身のキャリアを振り返り、新鮮な目で向き合うことができている。

つねにクールに、クリエイティヴに、自身の追求する音楽を形にしてきたナカコーだが、今はよりリラックスして自分自身ともコミュニケーションをしているのだろう。バンドという形態を通して、無邪気に音と戯れる姿が、そこにあった。

 

Koji Nakamura "Masterpeace Tour"

10月23日(木) 梅田 CLUB QUATTRO
10月24日(金)名古屋 CLUB QUATTRO
10月30日(木) 恵比寿 LIQUIDROOM
チケット:オールスタンディング4,800円(ドリンク代別)

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