産後は、産前当たり前にできていたことがなかなかできなくなるものですが、例えば好きなアーティストのコンサートに行けなくなるというのもその代表例。特に子どもがある程度大きくなるまでは、コンサートに行くどころか夜に家を空けたことがないというママも多くいます。
でも、もし子どもが小さくても、好きなアーティストなどのコンサートに気兼ねなく行けたら、日々の育児のストレスが軽減するくらい、いいリフレッシュになると思いませんか?
そんなあるママの思いから端を発したサービスの構想を記したツイートが、ママたちを中心にすごい勢いで拡散されました。
自分にできることは「託児サービス」だと思った
ツイッターで、コンサート時の託児サービスを始めたいとツイートした高見ゆき(@dessinjp)さん。
高見さんは産後のワンオペ育児を「先の見えないトンネルの中を歩いているようだった」と言います。
想像以上の育児のハードさに育児ノイローゼになりかけたという経験から、好きなアーティストの現場(コンサート)に行って、現場でもらった笑顔を増やす活動をしたい、たくさんのママたちに現場でリフレッシュしてほしい、そのために自分にできることは託児サービスではないか…と、率直な思いをツイートしたところ、瞬く間に多くの人の共感を得て拡散され、“バズって”いるんです。
今回は、このコンサート託児サービスの実現に向けて今まさに動いている高見さんにインタビュー。現在の状況や、構想が生まれた背景を改めてお伺いしました!
――なぜ、「自分にできることは託児サービスだ」と思い立たれたんですか?
高見ゆきさん(以下、高見)「元々ももいろクローバーZというアイドルグループを応援していて、出産する前はライブにもよく足を運んでいたので、ニーズがわかって自分にできそうなことといったらライブ中の託児かなと思ったのですが、自分でやるつもりはなくて。
託児サービスって意外にいっぱいあるじゃないですか。でも、どこにどんなサービスがあるのかわかりづらい。なので、そういうサービスが一覧でわかるようなポータルサイトを作ろうかなと思っていたんです。検索したら、『ここに来ればこんなサービスがあるよ』ってわかるような」
――なるほど、それはライブに行きたいけど子どもがいて出かけられないママに需要がありそうです。
高見「出産後、育児中に母親がなんとなく出かけづらい、日本の育児を取り巻く空気感のようなものに腹が立っていて(笑)。私も産後ライブどころか外にも出かけないでいたらどんどんストレスがたまって、夫にも当たってしまって。
そのうちに『これは社会が悪い!』と、夫への怒りが社会への怒りに変わり、『こんな社会を変えたい』と思ったんです。ネットを見ていたら『社会を変える』みたいな、女性議員になりたい人のための勉強会があって。
議員になりたいわけではなかったけど、参考になるならと思って参加して、『やっぱり議員には向いてないな』と思ったんですけど、そのとき出会った議員さんとは今も交流があるので、今回この託児サービスをやるにあたって相談しています」
――ものすごい行動力ですね!
高見「産後ってホルモンのバランスが変化して、感情的になるじゃないですか。本当にものすごく夫に当たったんですよ。まさにサンドバック状態で。今思えば夫もよくここまで受け止めてくれたなっていうくらい(笑)。
でも、息子が、将来お嫁さんにこんな仕打ちを受けたらかわいそうすぎるなってふと思ったんです。
息子が結婚して子どもが生まれたとき、親もリフレッシュできて当たり前で、外に出ても白い目で見られず、みんな息抜きできて子育てにやさしい社会になれば、お嫁さんだけじゃなくて息子も楽なんじゃないかなって。
今、親がリフレッシュするためのサービスを始めることが、結果的に将来の息子の幸せにもつながるんじゃないかと。
なので、さっき言った“怒り”が原動力でもありますが、息子のためというのも大きいですね」