「ピュアなだけではダメ。純粋さは諸刃の剣よ!」

――シンデレラと恋に落ちる王子様についてはいかがでしたか?

やすこ:王子様は、すくすくと真っ直ぐに育ったふうになっているけど、いくらなんでも世間知らずすぎるわよ。

純粋は純粋なんだろうだけど、それって諸刃の剣だと思っているの。人として生きるためには、純粋さだけではなく、時には不純さももっていなければいけない。ただピュアなだけではダメよ。

だって、初めてシンデレラと森で知り合った時、もう少し考えたら、次の日くらいにまた彼女を探しに行けたはずでしょ。それに王子のお父さんも王子を持ち上げすぎよ。そこがピュアなんだけど、違う目線で見てみると面白いわね。

――シンデレラもとてもピュアですが、やすこママが思う理想の女性像とは少し違うのでしょうか?

やすこ:シンデレラみたいな人もいいとは思うわよ。ただ、人って神様がくれたいらない感情がもっといっぱいあると思っているの。ピュアなだけでは生きていけないし、恨みや妬み、嫉妬はどうしても生まれてくるから、シンデレラみたいな性格の人だと難しいんじゃないかと思うの。

だから私は、シンデレラ的な要素だけではなく、ちょっと継母的な要素もあり、向上心もあった上で、時代の流れにある程度敏感にさせてくれる人が理想的じゃないかと。

シンデレラを見ていて思ったんだけど、あの人はずっとあのままでしょ? 

たとえば、あの時代にケータイがもし出てきたとしても「何かしら?それ」と言うだけで手にしない。でも、継母なんかは我真っ先にと「最新じゃない!」と言って食いつくんじゃないかしら。そういういろんな要素を兼ね備えた女の方が私は面白いと思うわ。

「男性の脳は“理想脳”、でも女性の脳は“現実脳”」

――ケイト・ブランシェット演じる陰険な継母はいかがでしたか?

やすこ:あの継母もたいがいだね。再婚して、自分の娘になった人と接する方法はいろいろとあったと思うけど、ああいうふうにいじめることを選んでしまった継母を見ていたら、いろいろと考えちゃったわ。

たとえば前のだんなさんとの結婚が上手くいってなかったのかしら? とか、自分も幼少期にいじめられたのかな?とかね。彼女の元だんなについても、金持ちだけどバカだったから、あんなに高飛車な女と結婚したのかな?と、勝手な想像をしちゃった。

継母たちがいじわるなほど、シンデレラのピュアさが目立つから、映画としてはいいと思うけど、あれが現実ならたまんないわよ。結局そのいじめは、嫉妬から来たものだと思うの。新しいだんなの娘さんがあんなにきれいでピュアだから、嫉妬したのね。

いじめられた経験がある人って、自分は絶対に人をいじめないという人と、さらにいじめるという人に分かれていくでしょ。継母もその娘たちも本当におバカさんよね。

日本でもあんないじわるをする人っているとは思うから、そういう人たちが、この映画を見ればもうちょっと優しくなるはず。また、世間の継母たちもこれを見て、自分の義理の娘のあしらい方を学んだ方がいいと思うわ。