ゆとり

「これだからゆとりは話が通じないんだ」など、知識が乏しい、理解力がない人間を批判する時に使われるネット用語。語源は、従来よりも学習時間を大幅に減らした「ゆとり教育」、またはその教育を受けてきた「ゆとり世代」。

本来は1987年~1996年(広義では2004年)生まれがゆとり世代に該当する。しかし相手の素性がわからないネット上では、世代に関係なく使われている。

意味もネット用語の「ゆとり」には変化が見られる。ビジネス書などではゆとり世代の特徴として自分本位・打たれ弱い・知識偏重といった例を挙げているが、ネット用語ではそこから逸脱して頭が悪い・性格が悪いなど根本的な人格否定にまで意味が広がった。

こうした背景があるため、ネット以外の場所、特にフォーマルな会話で軽々しく「ゆとり」の言葉を使うのは避けたほうが無難だろう。

ブラクラ

ネットサーフィンしていて、怪しげなリンクをクリックしてみたら画面いっぱいに広がるショッキングな画像(ホラー映画の殺人鬼など)、スピーカーから大音量で響き渡る悲鳴……こんなワナに引っかかってしまった際、「ブラクラを踏んじゃった」と言われることが多い。語源は「ブラウザクラッシャー」だ。

しかし本来のブラクラは名前の通り、ブラウザ自体を不調に陥れる仕掛けのことを指していた。たとえば怪しいリンクをクリックした途端に無数のウィンドウが出てきたり、パソコンが強制停止させられたり、人間でなくコンピュータ側にダメージを与えるものなのだ。

では、現在ネット用語として広まっているブラクラは何かと言えば「精神的ブラクラ」「マインドクラッシャー」と呼ばれるのが正しい。いわばブラクラの亜種だ。

最近はセキュリティ向上のためか本物のブラクラに出会うことが減った代わりに、うかつにショッキング画像などを開いてしまうネットユーザーが増えた。そんな経緯によって、ネット用語としての「ブラクラ」は意味が差し替えられたのかもしれない。後から派生した意味が本家をなかば乗っ取ってしまったという点で「中二病/邪気眼」の関係に似ていると言える。

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。