夫は妻の家事を「仕事」と認識していない

社会学者の品田知美さんの調査によると、夫は妻の家事を、「そもそも仕事として認識していない」のです。

乳幼児を持つ家族の夫と妻に、妻がやっている家事をたずねたところ、無回答が30%に。これは、妻の家事の内容を夫が理解していないことのあらわれです。

仮に女性の家事の時間を仕事時間として換算した場合、女性の労働量はどれほどになるのでしょうか。
書籍『「居場所」のない男、「時間」がない女』を開いてみると、気になる調査結果が紹介されていました。

総務省発表の「社会生活基本調査」(2011年)によると、有業者についての平日の仕事時間は、男性は平均6時間56分で女性は4時間50分。男性は女性よりも2時間多く仕事に時間を費やしていることがわかります。

一方、男性の家事への貢献度はいかがでしょう。こちらは極端に短いと言えます。男性の家事への関連時間は週全体で1日あたり平均42分。平日が33分で、日曜日は1時間8分です。

女性の1日あたりの平均は3時間35分。ここには圧倒的な差が見て取れます。

しかも女性の場合は平日3時間32分で日曜日3時間43分と、平日も休みの日も差がなく、1週間を通して家事に時間を費やしているのです。

平日だけ切り出して見てみると、男性よりも女性の方が3時間も多く家事という仕事に携わっていることがわかります。そういう意味では男性と同等か、それ以上の業務時間だと言えるのではないでしょうか。

同書では、「日本の女性は、就労率は他の先進諸国に比べて低く、有償時間も長くはない。だが、有償労働と無償労働時間を合算した『総労働時間』は、長時間労働が指摘される日本男性よりも長くなる。しかも、究極の休憩時間である睡眠時間は、男性よりも女性のほうが短い。先進諸国で男性よりも女性の睡眠時間が短いのは珍しい傾向である」と語られています。

「総労働時間」……、なんとなく奥さんには迷惑をかけているなという印象でしたが、実際に数字を目の前にすると恐縮してしまうものです。

今日は美味しいケーキでも買って帰ろう。今度の土日は家族のことは気にせずに遊びに行ってもらおう。そして、その間、しっかり家事を一人でやろう。

いくらやっても妻に認めてもらえなかったのは、総労働時間がまだ足りていなかったためなのだろう。今日から改めます。