【漫画】ホワイトデーだから愛に生きる男の漫画を集めてみた

3月14日のホワイトデーにちなんで、“これぞ真っ向勝負の純愛野郎!”とも言うべき男子が登場する作品をチョイス。草食系のオトコたちが参考にすべき、熱い告白方法が満載です。

3月14日(水)はホワイトデー。日本ではお菓子業界の陰謀……もとい粋な計らいによって、バレンタインデーにチョコを受け取った男性が女性へお返しを贈る日とされている。バレンタインからの1ヵ月間は互いに告白すべきかどうか水面下で駆け引きが繰り広げられたり、なかなかに恋愛要素の強いイベントだ。

そこで今回はバレンタインにちなんだヒロイン特集(【漫画】バレンタイン直前! 愛が重いヒロインたち)と対応して、純粋な愛に生きた男の登場する漫画に焦点を当ててみたい。少年・青年漫画に出てくる男性キャラクターはオクテ&優柔不断&ボクネンジンというのが一種の定型フォーマットで、特に主役級キャラが序盤から積極的に女性へアプローチをかけることは珍しい。そんな中で“これぞ真っ向勝負の純愛野郎!”という3タイトルをチョイスしてみた。


■きまじめな純愛『ラブロマ』 作:とよ田みのる(全5巻)

連載第1話の1コマめがクラス全員の前での告白シーンという、衝撃的な開幕を見せる学園ラブコメ作品。告白してきたクラスメートの名前(星野)すら知らず戸惑う由美子だったが、あまりにストレートな愛情表現に負けて受諾。ここまでわずか2話の出来事である。

普通のラブコメ漫画なら最終回となってもおかしくないが、むしろ本作はここからがスタート。カップルという形をまず作った未熟な2人が、本物のカップルに育っていく過程を描いている。男女が付き合うようになってからのほうがメインという点では、近年社会現象になった恋愛ゲーム『ラブプラス』に近い。

由美子は活発で喜怒哀楽がハッキリした少女。わりと珍しくないタイプのヒロインだが、むしろ本作を強烈に特徴づけるのは主人公・星野の存在である。常に表情を変えず理知的、女性には必ず敬語を使うようなきまじめ少年。恋愛に関しても曲がったことが嫌いで、高校の合格発表で由美子に一目惚れして以来、ただひたすらまっすぐに愛を伝えまくる。クラス全員の前での告白にはじまり、放送室をジャックしてデートに誘ったり、文化祭のステージ上で延々と愛を語ってみたり非常にフリーダムだ。最初は軽く引いていた由美子も少しずつ影響を受け、本音で星野と向き合うようになっていく。

ストーリー自体は遊園地デート、手作り弁当、三角関係、バレンタイン、看病といったラブコメ漫画での定番イベントが目白押しだが、なにせ男が純愛バカだから展開もいろいろ違ってきて新鮮だ。なんともユニークな、そして愛すべき“バカップル”の物語である。


■極限の純愛『エアマスター』 作:柴田ヨクサル(全28巻)

元体操選手の女子高生ストリートファイターがさまざまな強敵と激闘を繰り広げる長編格闘ストーリー。近年だと将棋漫画『ハチワンダイバー』の実写化が知られているが、柴田ヨクサル作品のメディアミックス時期ではこちらの『エアマスター』が先だ(2003年にアニメ化)。

まず何より格闘漫画として非常にハイレベルで、空中戦を得意とする生粋の格闘バカヒロイン・摩季をはじめ、ケンカ屋からプロレスラー、中国拳法使い、果てはフリーライター(!)まで参戦してノリの良い肉弾アクションを魅せてくれる。もし「おすすめ格闘漫画を3つ挙げろ」と言われたら筆者は確実に本作を推薦するだろう。

その一方、この漫画は普通のラブコメとは異質な“愛”の存在も描いている。それを体現した長身イケメンのキャラクターが、摩季に極限の愛を伝える男・坂本ジュリエッタだ。序盤の3巻に初登場した坂本は感情の沸騰するベクトルやタイミングが常人とかけ離れた人間で、いきなり街ですれ違った瞬間から摩季にアプローチ開始。食事に誘う→路上でバトル→いきなりキスして放心状態にする→家に連れ込んで性的にアタック(未遂)……という、どこからどう突っ込んでいいか分からない壮絶な愛情表現だった。

恋愛に免疫のない摩季は当然これを全力拒否し、ストリートファイトの再戦で坂本をボコボコにするが、まだ彼は諦めない。ストーリーの本筋と並行してありとあらゆる場面で摩季を口説きにかかり、2人の愛を邪魔する者はバケモノじみた戦闘力で排除していく。そして坂本と摩季の愛は本編クライマックス近く、23巻でピークを迎える。ラスボスそっちのけで100ページ以上にわたって繰り広げる愛憎劇の行方は……間違いなく漫画史に残るであろう一大告白シーンだ。

相手を思いやる恋愛と、相手を破壊する闘争。この2つが実はとても近い行為なのだと教えてくれる『エアマスター』は格闘漫画であると同時に、“ヨクサル節”が全力で炸裂する思想書としても読めるかもしれない。


■身分を超えた純愛『エマ』 作:森薫(全10巻)

舞台は19世紀末のロンドン。上流階級(ジェントリ)の長男・ウィリアムが、恩師の家を訪問した際に美しいメイド・エマと出会ったところから物語は始まる。エマが開けた玄関ドアに勢いよく顔面をぶち当てるという初対面だったが、ウィリアムはエマに一目惚れ。これまた第1話の5ページ目という早いフォーリンラブだった。エマもまんざらではないようで、彼女の雇い主も応援してくれるという理想的な関係のスタートである。そう、スタートだけは。

2人の間に立ちはだかった大きな壁は“身分”の違いだった。聡明で美しいとはいえエマは貧困層の出身。対してウィリアムは豪商の跡取り息子。エマなら貴婦人にもなれると主張するウィリアムに父親が「猫は馬にはなれない。前提というものがある」と放った一言が、当時の厳しい身分社会を端的に表している。

やがて自分の存在が迷惑になると思ったエマは身を引き、ウィリアムの前から姿を消す。彼も一度は諦めて別の婚約者を決めるが……ここからがまた素晴らしい。ひょんなことから再会した2人は諦めたはずの想いが再燃。身分の差という大きな壁を今度こそ打ち壊せるか? 恋愛は障害が多ければ多いほど燃えるもの、というセオリーを地で行くようなドキドキの展開が待っている。当初は軟弱青年だったウィリアムが、エマへの愛を支えに成長していく物語として読んでもおもしろい(まあ基本ヘタレ男のままなんだが)。

2人の恋愛を主軸に、脇役キャラクターまで丁寧に生き生きと描かれており感情移入しやすい。また筆者の画力レベルや資料収集への熱意も相当高く、ページをめくるたびにヴィクトリア朝時代の空気が伝わってくるようだ。外伝と後日談を除けば『エマ』の物語は全7巻と意外にコンパクトで、起承転結もはっきりしている。正統派のメイド物語、正統派のラブストーリーを求める人には最適のチョイスではなかろうか。気に入った人には同じ作者が贈るもう一つのメイド物語『シャーリー』も超おすすめだ。


以上、純愛ボーイズの情熱がほとばしる3タイトルを紹介してきた。いずれも真似にしくい(『エアマスター』の場合は法律に触れる)恋愛ドラマだが、だからこそ読んでいて憧れる部分も多い。意味もなく美少女がわらわら言い寄ってくるハーレム漫画にウンザリした人は、ぜひこれらを手にとってみてほしい。 

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