子どもの習い事として、プログラミングが注目を集めています。
都内にも多数の子ども向け教室が登場し、プログラミングを学ぶ子ども向けの合宿などもあります。
そこで、どうして今プログラミングが注目を集めているのか、『子どもを億万長者にしたければプログラミングの基礎を教えなさい』の著者である松林弘治氏に、プログラミング教育についてのお話をうかがってみました。
“機械に使われない”ために、仕組みを知る
――子どものおけいこ事として、プログラミングが注目を集めている理由はなんでしょうか。
松林氏:理由としては3つあります。ひとつはプログラムを書けるエンジニアが不足していること。
現状としてプログラムを書く仕事をしている人のすべてが情報工学などを専攻しているわけではなく、企業に入り開発部に所属してから一から教わることが多いです。
そうなると、どうしても小手先のことばかり重視され、コンピューターのもっと体系的な理解が伴わないままコードを書かなければいけない。そういう意味での人材不足をどうにかしたいという企業や政府の思いもあるのでしょう。
また、現在は昔と違い、あらゆるものがコンピューターやネットワークで動き世の中が便利になった反面、どうして動いているかを考えなくても使えてしまいます。
それはそれですばらしいのですが、反面、機械に使われてしまいがちです。
たとえば、スマホのガチャに夢中になってしまうのも、どんな計算式か考えて、当たる確率が低いということがわかれば、そんなに無茶をしないはずです。
また、PCやスマホの調子が悪い時、基本的な仕組みがわかっていれば効率的な解決方法を考えられるのは大きなことです。
自分が考えるヒントとして、プログラミングの知識を持っておくことで、これから便利なツールが出ても、それをもっと使いこなせるようになるでしょう。
そんな中から、便利なツールを自分で工夫して作る人が出てくるのかもしれません。
3つめが、コンピューターを使ったアクティビティは、子どもにとって教育的に効果があると認識され始めていることで、これが最近のブームの主因だと思われます。
実は、こうした実証は10年以上前から行われています。
コンピューターがよりパーソナルなものになり処理速度も上がり、身近なプログラミング言語も増えた。そして、より簡単で安価にプログラムを楽しめる環境が整ってきました。
子どもをエンジニアにすることが目的ではなく、夢中になって遊んでいるうちに、知らず知らずのうちに論理的に考えるくせが身についていく。大人には思いつかないような斬新な感覚でものを作り上げていく。そうした効果があると考えられています。
以上の3つが絡み合い、現在プログラミングが注目を集めるに至ったと思います。