正式サービス開始から10日目で累計100万ダウンロードを突破した「ドラゴンズドグマ オンライン」

2015年8月31日に正式サービスを開始した基本無料のPC/PS4/PS3向けオンラインゲーム「ドラゴンズドグマ オンライン(DDON)」が、驚異的なスピードでユーザー数を増やしている。正式サービス開始からわずか10日目で累計100万ダウンロードを突破。同時接続数も国内オンラインゲーム史上最大規模の10万人を記録し、いま日本でもっとも旬なオンラインゲームとして市場を沸かせている。

本作は、2012年に家庭用ゲーム(PS3/Xbox 360)として第1作が産声を上げたオープンワールドアクション「ドラゴンズドグマ」のオンライン専用ソフト。シリーズを通して評価が高い爽快なアクションや、細部まで緻密に設計できるキャラクターエディットなどの魅力はそのままに、日本中のプレーヤーと連携してミッションに挑む共闘やコミュニケーションの要素を追加した。

最大8人のプレーヤーと協力して、ゲームの舞台となる「レスタニア大陸」というファンタジーの世界で冒険を満喫できる。主人公は「覚者(かくしゃ)」となり、大陸の守護者たる白竜を守るために、魔物たちと戦いを繰り広げるのだが、多数の登場人物が織りなす重厚なストーリーも見所の一つだ。豪華声優陣を起用し、JRPGならではのドラマティックなシナリオを用意している。

●販売日数わずか5日で、8月に一番売れたPCゲームに!

モンスターハンター(モンハン)シリーズなど、人気タイトルをオンラインで展開するカプコンだが、オープンワールドのオンラインゲームは本作が初。注目を集めていたが、サービスが始まってみれば、予想をはるかに超えるユーザーから支持を集める結果となった。8月27日に発売している正式サービスに先行してゲームをプレイできるアーリーアクセス権や総額1万円相当のサポートアイテムを同梱した「ドラゴンズドグマ オンライン リミテッドエディション」は、各販売店で軒並み品切れ状態に。

8月中の販売日が5日間しかなかったにも関わらず、家電量販店やPC専門店、ネットショップの実売データを集計するBCNランキングのPCゲームソフトの製品別ランキングで、8月の販売本数シェア1位を獲得した。

「ドラゴンズドグマ オンライン リミテッドエディション」が獲得したシェアは19.5%。2位以下には「ドラゴンクエストX」や「ファイナルファンタジーXIV」など、知名度やユーザー数が世界的にも高いビックタイトルが並ぶ。これらを抑えての首位獲得は、今年のゲーム業界にとって大きなトピックといえるだろう。今回は、この快進撃の理由について運営を統括する谷中政基運営プロデューサーに聞いた。

●予想を超えるスタートダッシュを記録! 口コミで支持が拡大?

8月の販売本数シェアでトップを獲得した「ドラゴンズドグマ オンライン リミテッドエディション」だが、実はゲーム自体は基本無料なので、ダウンロードすれば誰でもすぐにプレイできる。つまり、今回、爆発的に売れた特典を同梱したパッケージ版がなくても構わないのだ。「基本無料ならとりあえず様子見をして、お得なパッケージ版を購入する」という選択をする人が多そうなものだが、発売と同時にここまで売れたのはなぜなのだろうか?

「もちろん正式サービス前にプレイできるアーリーアクセス権がついてくることは、大きな要因だと思います。ただそれ以上に、シリーズを通してファンでいてくださる皆様やテストプレイの段階から楽しんでくださっていた皆様が、お友達に『一緒にDDONやろう!』と声をかけていただくなどして、正式サービス開始前から潜在的なコミュニティを形成してくれていたようなのですね。その証として、最大人数100人に達するクラン(ゲーム内のギルド)が、サービス開始と同時にいくつもできている状態でした」と、谷中運営プロデューサーは驚異的な販売初速の理由を分析する。初回出荷分の消化率はなんと95%以上だという。「基本無料なので、むしろ「パッケージがなくてもプレイできますよ!」という点は発売前から強調して生放送やTwitterなどでもお知らせしていました。特典付きのパッケージは最初からがっつりプレイしていただける方さえ購入してくれればいいと思っていました。なので、今回の売れ行きは完全に想定外です(笑)」(同氏)。

「ドラゴンズドグマ オンライン」の大きな特徴は“基本無料”ということ。昨今はこの“基本無料”を採用するオンラインゲームは増えているが、本作ほどクオリティが高い作品が無料というのはかなり思い切った試みだ。もちろん各種オプションサービスという課金要素はあるが、課金しないからといってプレイできない要素があったり、強力な装備が入手できなかったりということはない。

「“基本無料”は『一人でも多くのユーザーにゲームを体験してもらいたい!』という思いから採用しました。PC/PS4/PS3の三つのプラットフォームで同時にサービスを開始したのも同じ理由です。通常だとプレイするプラットフォームによって、サーバーが異なり、違うプラットフォームのお友達とはいっしょに遊べないのですが、本作はすべてのプラットフォームで同じサーバーを採用しているので、お友達をプレイに誘いやすいんです」(同氏)。サーバーが共通であれば、例えば、PS4でプレイするユーザーとPCでプレイするユーザーがいっしょに共闘したり、一人のユーザーが異なるプラットフォームで同じIDを利用できたりする。この間口の広さは、初めてオンラインゲームに挑戦するユーザーにも魅力的だ。

このほかにも、人によってはハードルが高く感じるオンラインゲームをとっつきやすくする工夫をとりいれている。オンラインゲーム初心者の第一の関門といえば、チャットで会話したり、パーティーを結成したりといったコミュニケーション。カプコンはPS3/PS4用に手頃な価格の推奨キーボードを用意し、家庭用ハードウェアでオフラインゲームをメインにプレイするユーザーでも手軽にチャットを楽しめるようにした。もちろん、キーボードがなくても、基本的な挨拶はゲーム内のショートカットで発信できる。

また、オンライン上でパーティーを結成する経験がない人でも、手軽にパーティーを組めるように「クイックパーティー」を採用した。ミッションや冒険エリア、レベル差などの条件を設定すれば、自動でメンバーをマッチングするシステムを導入している。

●初心者でも簡単に爽快アクション、「ドラゴンズドグマ」ならではの魅力

「ドラゴンズドグマ」シリーズの魅力の一つに挙げられるのは、バリエーションが豊かなアクションの数々。オープンワールド系のタイトルとしては、ほかに類を見ないほど、繊細な動作や爽快なアクションが可能だ。特定のものをつかんだり、巨大な敵にしがみついて攻撃したりすることができる。

PVやプレイ動画を見ると、あまりの多彩さに操作が難しいのではと不安になるが、複雑なコマンド入力などは一切ない。状況によって動作が変化するので、シンプルな操作でも、十分にさまざまなアクションが繰り出せるのだ。チュートリアルもつくりこまれているので、基本操作から応用的な操作まですぐにマスターできる。

戦闘の立ち回りに大きく影響する「ジョブ」も重要な要素だ。スタート時にはファイター・ハンター・プリースト・シールドセージの4ジョブを選択することができる。谷中運営プロデューサーいわく、初心者におすすめなのは剣と盾を装備し、攻防両方のバランスがとれた「ファイター」。「ボタンを連打するだけで、爽快なコンボ技を繰り出せます。それこそモンハンのような操作感で楽しめると思いますよ」と、推奨する。

逆に立ち回りにクセはあるが、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)好きに体験してほしいというのが弓による遠隔攻撃を得意とする「ハンター」だ。「FPSを意識した戦闘スタイルを採用しているので、テンポ良く戦闘を進められるはずです。エイム(敵を狙って当てる技術)がゲームのうまさに直結するので、腕に自信があるユーザーにはおすすめです」(同氏)

9月17日~20日に開催された東京ゲームショウ2015で発表された「シーズン1.1」のアップデートでは、新フィールドや新モンスター、新ジョブを追加。冒険の世界はさらに広がる。新しいジョブとして加わった「エレメントアーチャー」は、魔法の矢で攻撃から仲間の回復まで行う戦略性の高いスタイルが魅力。すでにゲームをやりこんでいるプレーヤーにとっても、刺激的な体験になるはずだ。このほかにも、「ストリートファイター」シリーズとのコラボレーションなどアップデート要素は盛りだくさん。アップデートは10月15日を予定している。

評判が評判を呼び、着実に人気が高まっている「ドラゴンズドグマ オンライン」は、年末には「シーズン1.2」、年度末には「シーズン1.3」へのアップデートを計画しており、さらなる進化を遂げる予定だ。日本を代表するオンラインゲームとして名乗りをあげた新鋭のさらなる成長に期待したい。(BCNランキング編集部・大蔵 大輔)

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